人間が俗世間や社会で多彩な活動をしたり気晴しのために動き廻るのも、偏えに彼が自分一人だけの存在に耐えられず、自分自身を直視するに忍びないからに他ならない。これらの休みなく目的なき活動は、すべてが静寂を怖れる心理に発している。実際に人間が仮に一瞬間でも自分自身の状態に立ち帰ってその状態を明瞭に意識するならば、彼は必ずや極端に救いなき絶望に陥るであろう