ヴォルテール
ヴォルテールは本書を通じて次のテーゼを読者に問う。
寛容はけっして内乱の原因にはならなかった。不寛容が地上を殺戮の場に変えた。いまや、われわれは相反する二者のいずれかを選択しなければならない。信条のためなら、わが子をいけにえとしてささげる母親か、それとも、わが子の命を助けるためなら、どんな譲歩でもする母親か。
ヴォルテールはなにも無根拠にそれを論ずるわけではない。というのも彼によると不寛容というのは公言も実行もしてはならないものであることが、旧大陸全体の経験によって証明されている」のだ。