ロベール・ブレッソン
1975
『シネマトグラフ覚書』
映画と宗教と主題
以下は、本書において唯一宗教について語った断章
同じ一つの主題も、映像と音によってどうにでも変わってくる。宗教的主題はその尊厳とその高揚とを映像と音から受け取る。その逆(人々がそう信じているように)──つまり、映像と音が宗教的主題からそれを受け取る、という──わけではない。
これは明らかに
パスカル
の
『パンセ』
より以下を意識して書かれた。「
同じ一つの意味も、それを表現する言葉によって変化する。意味はその尊厳を、言葉から受け取るのであって、言葉に与えるのではない
」。それはシニフィアンの先駆性であり、映画においてシニフィアンに位置するものをブレッソンは映像と音と照応させた。したがってブレッソンはカトリック作家として宗教的主題を映画として手掛けたのではなく、カトリック作家として宗教的映像=音、すなわち真の宗教映画を手掛けたのだ。