マイヤー
1948『夢の治癒力』
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神的治療
その答えは、われわれが期待するように、古代の医学および医師ではなく、もっぱらアスクレピオスと呼ばれる一人の神ないし救済者、すなわち人間的な医師ではなく神的な医師であったように思われる。この理由は、古代人が病気のなかに神的なものの作用を見たところにある。それは神的であるから、神的なものあるいは神によってしか癒されない。
ソクラテスは死を前にしてアスクレーピオスを思った。これは、この古代の神的な医師が「死に定められた者」にも価値があったこと、彼が「生という病気」から癒す者でもあったことを示している。アスクレーピオスへのオルペウス教的賛歌を見られたい。「きたれ、祝福されし者、助け手 / 命に高貴な終わりを与えるために」。
神的な病と神的な医師との間の連関は古代の治療術の核心をなしている。しかし、この呪術的医学とともに有名な古代ギリシャの科学的医学も発展した。それはやがて病気との聞いを原理とするようになり、病気は医師自身から分離されてしまう。この医術の創始者はヒッポクラテースおよびガレーノスである。しかし奇妙なことに、コースのヒッポクラテース医学の流派は、その創始者の死後、アスクレーピオス神殿を建設せざるをえなかった。したがって、結局は、呪術的医術なしで済ますことができなかったわけである。
蛇というモチーフ
古代人は、アスクレーピオスと蛇の結びつきを、病気からの解放を象徴する、その若がえりの能力（脱皮）および感覚の鋭さによって説明した。病気からの解放が、新しい人間を着ること（脱皮）に相当するという点については後でもう一度考察しょう。
マサチューセッツ州のアンドーヴァー・ニュートン神学校の計四回にわたる講義より
『カッティング・レクチャーズ』
IV 心理学と宗教