バルザック
1834
『「絶対」の探求』
息も絶えだえの病人は突然、握りしめたこぶしにからだを支えて起きあがった。ギョッとした子供たちに投げかける視線は、まるで稲妻のように彼らのすべてに突き入った。首筋にわずかばかり残っている髪の毛がそよいだ。しわがピクピクふるえた。顔は火のような精気をおび、そこを、ある霊感の息吹きが通りすぎて、この顔を崇高なものとした。激怒のために引きつる片手を高く差し上げると、われるような声でアルキメデスの有名な言葉を叫んだ、―「EUREKA!」