ハーバート・ギンタス
ボウルズ=ギンタスは,1970年代に学校を資本制社会の再生産との関わりで把握する研究を精力的に行い,その成果は本書によって結実した
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1960年代のアメリカにおける教育改革は、学校のもつ社会の民主化、平等化の機能に対する期待のうえに成り立っていた。そうした期待に立脚して、公教育の拡充によって不平等問題を解決していこうという発想が、リベラリズムの教育理念の特徴であった。ボウルズ=ギンタスが試みたことは、このようなリベラルな教育と社会との関係認識を根本から転換することであった。
このようなリベラル派の教育と社会の関係認識に代わる認識枠組みとしてボウルズ=ギンタスが提案するのが対応原理(correspondence principle)である, 教育システムが、経済システムのなかに若い人々が統合されてゆくのをたすけることができるのは、教育の社会的関係が生産の社会的関係と構造的に対応(structural correspondence)しているからである。教育の社会的関係の構造は、学生たちを職場の規律に慣れるようにするだけでなく、職場適性の重要な要因となるような形の行動様式、自己表現、自覚、社会階級意識を発展させる
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