シラノ・ド・ベルジュラック
レオ・シュトラウスの『迫害と著述の技法』によれば、リベルタンは当時の厳しい出版検閲制度のもと、危険視や異端視されかねない自信の主張を監視の目を掻い潜って伝達するために、詩、空想小説、演劇、歴史物語と歴史調査書、対話、エセー、パロディ、書簡、断章といった形式を目眩しのために採った。さらに修辞学上の手法も駆使した。具体的には、当てこすりや目配せ、婉曲、隠喩、引用、虚言、皮肉、逆説や撞着、議論の唐突な開始、議論の分散、その意味が意図的に歪曲された文章の寄せ集め、意図的な饒舌、その反対に、饒舌より多くを語る沈黙などである。これらは、相応の知的訓練を受け、行間を読むことに長けた読者でなければ、読み飛ばしたり、著者が真に意味するところを取り違えたりしてしまう罠である。学識的リベルティナージュの伝統において、このような手法の典型例としてシラノの文学作品が存在する。(『啓蒙思想の百科事典』)