ぼくはどんなことだって確信がもてません。じぶんが存在していることを確証させてくれるものを、たえず待ち望んでいる始末なのです。ほんとうにじぶんの所有物だといえるようなもの、じぶんだけに属している疑いようのないもの、ぼくだけがはっきり決めることができるものを、なにひとつもっていません。結局のところぼくは相続権を奪われた息子なのです。じぶんのもっとも近くにあるもの、つまり、じぶん自身の身体のことすら疑っていました