どんな不均衡状態であれ、市場力の作用だけで均衡が回復するかどうか、という問題を延々と議論するのが経済学者の伝統であるように思われる。たしかにそれはおもしろい問題である。しかし、社会科学者として私たちは、もっと大きな問題、すなわち、いやしくも不均衡状態が是正されるのは、市場力と非市場力こいずれによるのか、それとも両者の共同作用によるのかという問題を取り上げねばならない。非市場力が必ずしも市場力よりも非「自動的」ではないというのがここでの論点なのである