たとえ夢のなかでさえも、歴史的想像力がこれまではばたいたことはなかった。なぜなら、いまや人類の歴史は、動物や植物の歴史のたんなる延長線にすぎないからである。普遍的な歴史を書こうとする者は、深い海底にさえ、生きた泥土という形で人類の進化の足跡を発見する。人類が駆けぬけてきた巨大な道のりに直面して、歴史家は立ちすくむ。そしてこの道のりをすべて見通すことのできる現代人の登場という、いっそう巨大な奇跡を目のあたりにして、歴史家は震えおののく