あの川は山から落ちて、海へと注いでおる。人は自分の行きつくところを知りたいと願うものじゃ。だが、一度は振り返り、向きなおって、源までさかのぼり、その源を自分の中に位置づけなくては、人は自分の行きつくところを知ることはできんのじゃ。川にもてあそばれ、その流れにたゆとう棒切れになりたくなかったら、人は自ら川にならねばならぬ。その源から流れ下って海に到達するまで、そのすべてを自分のものとせねばならぬ。