パスカル
デ・バローとパスカル
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第二章 神なき人間の悲惨
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自然は、あらゆる状態においてわれわれを不幸にするので、われわれ願望は幸福な状態というものを われわれに描いてくれる。なぜなら、その願望は、われわれの現に在る状態に、われわれの現にない状態の快楽 を結合させるからである。そして、われわれがその快楽に到達したあかつきには、それだからといって幸福になりはしないであろう。なぜなら、われわれはその新しい状態にふさわしい他の願望を持つだろうからである。 /icons/白.icon
第五章 正義と現象の理由
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正義、力。正しいものに従うのは、正しいことであり、最も強いものに従うのは、必然のことである。力のない正義は無力であり、正義のない力は圧制的である。力のない正義は反対される。なぜなら、悪いやつがいつもいるからである。正義のない力は非難される。したがって、正義と力とをいっしょにおかなければならない。そのためには、正しいものが強いか、強いものが正しくなければならない。正義は論議の種になる。力は非常にはっきりしていて、論議無用である。そのため人は正義に力を与えることができなかった。なぜなら、力が正義に反対して、それは正しくなく、正しいのは自分だと言ったからである。このようにして人は、正しいものを強くできなかったので、強いものを正しいとしたのである。