アマルティア・セン
https://scrapbox.io/files/651534ab7ef5b0001c760ecb.png
生活とは、なったり行ったりという、一連の相互に関連した「機能(functionings)」の集合として捉えられよう。この観点における個人の達成とは、彼か彼女の機能のベクトルとして見られうる。問題とされる機能は、「適切に栄養が与えられているか」、「健康であるか」、「免れうる病状や、早死にすることを避けているか」などという基本的なものから、「幸福であるか」、「自尊心を持っているか」、「社会生活に参加しているか」などといったより複雑な達成まで多岐にわたっている。ここでの主張点は、機能は個人の存在の構成要素であること、そして、福祉の評価は、これらの構成要素を評価する形をとるべきだということである。機能の概念と密接に関連しているのが、機能しているケイパビリティという概念である。これは、個人が達成することができる機能(なったり、行ったり)のさまざまな組み合わせを表している。したがって、ケイパビリティは、さまざまなタイプの生活を送るという個人の自由を反映した、機能のベクトルの集合である。