高橋虎琉「階段でつなぐ」
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積層建築では上下の階でつながりを持つことが難しくなる。そこで各階で床レベルをずらし、吹き抜けを多く用いることで階段を単に移動ずる手段ではなく、交流の場と考えるなど断面的な計画を多く行った。
一般的な積層建築にはいくつかの問題点が挙げられる。今回の提案では4つの問題点とそれらに対する解決策を提示し、取り入れている。
①建物中央、下層階が暗くなりやすい
→中央に巨大な吹き抜け空間をつくり、建物中央に光を入れた。下層階は床面積を小さくし、諸室をなるべく外側に配置した。またガラスを多く用いることで光を入れるとともに、地域に対して開けた建築を目指した。
②周辺に対して圧迫感がある
→前面道路に広いピロティを設け、まちに対して開けた空間をつくった。敷地の角部分の高さを抑えたり、一階の諸室を浮かせることで軽やかな建築を目指した。
③各階の構成が一様化しやすい
→上下の階で異なる場所で床を切り、レベルを変化させることで全ての階で異なる平面となり、各階の構成を複雑化させる。
④上下のつながりがない
→床レベルを上下させることで階を曖昧にさせ、吹き抜けを多く用いることで上下で人の存在を感じられるようにした。積層建築において階段が唯一上下の階を直接繋げる手段なので階段をメインに考えて設計した。
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階段を単に階を移動する手段ではなく交流に場に…
タワースコラの階段は単純で踊り場が多く、移動距離が長い。そのためエレベーターを利用する人が多く混雑していることが多い。
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・踊り場を少なく、移動距離を短くする
・階段を壁で囲わないことで上がっていくごとに景色の変化を見ることができ、それぞれの階の雰囲気を感じることができる
・階段の幅を広く取ることで座って友達と話したり、読書をしたり、スケッチブックを持ってアイデアを考えたりできる
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各階は以下のダイアグラムのようにして構成されている
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1階は敷地を斜めに通り抜けられるようになっており、中央の2階へ続く階段は座って本を読んだり、友達と話したりできるなどベンチとしての役割りも持っている。
また、階段部分は半屋外になっており、内部と外部の境界を曖昧にすることでふらっと立ち寄りやすくなっている。
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2階は主に「展示・講評部門」「ラーニング部門」、3階は主に「演習・講義部門」で構成されている。
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4階はデザインスタジオ、5階は「研究部門」が配置されている。
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6,7階も「研究部門」の部屋が配置され、6階には構造系、7階には環境・設備系の研究室、院生室、会議室が配置されている。
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8階は芝生や低木などの植栽が多く、自然豊かな屋上になっている。ベンチや机などで自然に囲まれながらご飯を食べたり、友達と話したりすることができる。中央はガラス張りになっていて光を吹き抜け部分に落とすことができる。
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講評:各階で床の位置やかたちが大きく変化し、それを繋ぐ動線空間が利用者の交流を促す場となって、この施設のどこにいても快適で楽しそうな空間の魅力に溢れている。高層化された建築の断面計画の大切さと可能性を教えてくれる秀作だ。(水野吉樹)