野村月咲「道をとく」
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道が持つ可能性を広げ
都市として平面的に存在している道を、建物として立体的に構築していく
変化しやすい代官山の骨格となる建物を目指し、道が手段としての機能だけに留まらず
目的として人を巻き込む空間を目指した
“おしゃれ”という言葉が代官山を形容するときによく用いられ、どこかその姿が外部から与えられた表層的に感じられた
新たなコンプレックスを計画するのであれば、代官山の深層部分を知る必要があると感じたことから今回の設計を始めた
代官山のまちを知るにつれ、時代によって大きく変化した代官山は「道」の存在によって支えられていると感じた。そこで「道」に着目し計画した
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代官山の道を客観的に見てみると、小道は道に面する空間を結び、大通りは道に面する空間を区画している。
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代官山を散策すると道に活動が溢れていたり、坂道やカーブにより同じ建物でも見え方が変化している。
多様な道の存在によりまちにあらゆる顔が見え隠れしている。
そして「道」が代官山の深層部分であるという仮説を立てました。
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都市に存在する道を手法として捉えなおし
「結ぶ」「隔てる」という要素によってエレメント化していく
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都市から建物、共用部、住戸まで繋ぎ、代官山の気配を誘惑し溶け込み、自らの目的地に到達するように計画していく。
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店舗同士が独立しているため店舗間に小さな路地のような空間が生まれる
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各店舗からの細い道の終着点となり、道幅の緩急により自然発生的な交通手段としての道と立ち止まって休憩する道が生まれている
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個人空間が注視され、隣人関係が希薄化する現代の生活の中で建築操作によって、その関係をつなぐように計画した
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住戸共用部を「common living」と定義し、住戸の延長線上に読書をしたり、勉強したりする空間が存在する
それぞれの家での活動やくつろぎ空間が家族以外で共有される
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住戸計画では、共用部と住戸が持つ要素をパブリック・セミパブリック・プライベートという
ヒエラルキーを構築し、グラデーション的に配置する
道が目的であり手段となる
代官山に存在した道のあり方を拡張していった
講評:空間を区画し隔てるもの、と同時に繋ぎ結ぶものとしての「道」をテーマに代官山のまちの文脈を読み込み再構築することに挑戦している。特筆すべきは、都市(まち)から建築(ファサード)、すまい(インテリア)とブレークダウンしていく課題への解答のすべてのレベルでその明確なコンセプトが通底しており、住戸内の間仕切り壁の高さやかたちにまで一貫したデザイン手法が適用されていることだ。ともするとことば遊びに陥りかねないこの試みを、説得力と魅力に溢れたかたちに結実させているのは、野村さんの才能とひたむきな努力によるものにほかならない。(水野吉樹)