杉山陽祐「好奇心が連鎖するキャンパス」
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大学の魅力、その価値はどこにあるだろう。結論として、私は大学の魅力の一つは多様性にあると考える。大学には出身にはじまり年齢・趣味や学部学科など異なる性質を持った人たちが集まる。このような多様性を享受し、互いに刺激しあえるところに大学の魅力があるのではないだろうか。 本案の目的は利用者の好奇心を煽り、それを原動力に新しい刺激を得るような空間をデザインすること。またそれらが連鎖していくシステムを再現することである。
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△平面計画
本案は正六角形のグリッドを基準として構成されている。
鋭角と鈍角が混在するため視線の流れや利用者同士の距離感にバリエーションが生まれ、行動の選択肢が増える。
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△立面計画
建物を支持する壁柱を逆三角形にカットオフすることで、あるところでは視線が通り、またあるところでは視線が遮られる。
互いに見え隠れするような曖昧なつながりを持つ空間が形成される。
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△一階(ロビー・アクティブラーニングスペース・展示スペース)
特異な形の壁とその重なりにより視線の抜け方や景色は著しく変化する。
壁の向こう側を覗き込みたくなるような構成となっており、覗き込んだ先で偶発的な出会いや交流、体験あるいは発見などの刺激を得ることができる。
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△上段:一階(ロビー・アクティブラーニングスペース・展示スペース) 下段:三階(デザインスタジオ・テラス)
一階ロビーおよび三階デザインスタジオは室を明確に定義せず、カットオフされた壁のみで曖昧に仕切ることで回遊性を持たせると同時に、個人の作業からグループワークや講義まで幅広い活動に利用できる。
その様子が見えたり隠れたりすることで煽られる好奇心。
それに身を任せ、歩を進めるとまた新たな景色が見えたり、あるいは隠れたり。
一つの好奇心がまた新たな好奇心を誘発し、連鎖していく。
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△南北断面図
逆三角形の壁が林立している様子が見て取れる。
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△左:一階平面図 右:三階平面図
扉を持たない室同士が緩やかに繋がっている様子が見て取れる。
一方でデザインスタジオは互いに緩やかなつながりを持つと同時に、多角的に展開されるため全体として有機的なつながりを持つ。矛盾するようにも思える性質を併せ持つスタジオが、活動の規模や目的への柔軟な対応を可能にする。
以上、好奇心が連鎖する刺激あふれるサテライトキャンパスの提案である。
講評:魅力的な提案である。特に模型が力強くて、建築を使いこなす、使い倒す意欲を掻き立てられる。私たちはきっと、「機能」に縛られた使い易い建築に飽き飽きしているのだと思う。異論はたくさんあると思うが、この提案の抽象性は、作者が言う「好奇心が連鎖するキャンパス」にとって必要なものだと理解している。(式地)