後藤広大「縒り」
https://gyazo.com/b49d44f410fbd9831038a9496f011532コンセプトである"縒り"は、異なる糸が紡がれ一つの糸になっていくという意味がある。そんな糸のように、縒り合うようにして人々が集い、同じ空間体験を通して親密な関係になっていくことを期待している。縒り合う空間の特徴として、使われる柱や梁は全て直線で構成されている。しかし、構成要素である三角形の構造に縒りを加えることで、柔らかな曲線が現れ、優しく包み込むような空間体験が生まれる。部材には格子と膜の異なる性質を用いており、それらが縒り合うことで一つの空間へ繋がれていく様は、訪れる者の多様性とそこで生まれる交流を意図している。また、格子や膜のデザインは外部と内部を柔らかに繋げ、開放感がありながらも落ち着きのある雰囲気を演出している。
https://gyazo.com/e141473cb87e8db8e1cacfe6ab0d0070三角形を構成要素とするトンネル状の構造は、縒り合う前の糸を表している。それぞれ異なる格子と膜のトンネルが、縒り合う(twist)ことで多様な交流の場面が生まれ、流動的でアクティブな空間が形成されていく。
https://gyazo.com/ac6e1c4e7e6843c432a050df96af380e思わず近づきたくなる造形は街のランドマークとなり、縒り合う様に人々を集わせる。
https://gyazo.com/652218afb108c851d7d41e90e9a3804d様々なフロアレベル、異なる傾斜の格子や膜は多様な空間体験生み出す。読書、お昼寝、遊ぶ子ども。予期せぬ出会いは新たな交流を生む。
https://gyazo.com/60de6bb9348f636584bbc59dbc876467縒り合う格子と膜のトンネルは大人を童心に帰し、吸い込まれる様な曲線は訪れる人々を優しく包み込む。
https://gyazo.com/c1faa99f5ea61fb60aeed0f7f34f883a陽が沈む頃、縒り合う空間は姿をかえる。ライトアップにより、格子を通り抜けた光は放射状の美しい影を描き出す。
幻想的な縒りの空間体験はボリュームの枠を超え、外部空間まで展開されていく。
https://gyazo.com/85fd6d3046ab13fa05a562d2ea0e33e9日中は日陰となり落ち着きのある閉鎖的な空間となっていた縒りの中央部。夜には膜を透過した光が上部から降り注ぎ、神秘的な空間体験を生む。
https://gyazo.com/4919b397f476e35d3ed8f6a506074595膜は光や影を映し出すスクリーンとなり、内部の空間体験は影となって外部にまで広がる。
縒り合う空間は、街を照らすひとつの照明となり、訪れる者の心をも照らす交流の場となるだろう。
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後藤さんの作品は、「縒り」というコンセプトを空間に落とし込むことに注力し、それが見事に多様な縒りを体験できる空間を作り出すことに成功している。2つの三角型のトンネルをねじりながら、1つの三角形のトンネルに融合しいる。さらに膜をはった三角形のトンネルとねじりながら交わることでさらに融合し、2つの異なった空間体験ができる縒りの空間を作り出している。この縒りのコンセプトは、単純な形状の操作だけではなく、この全体の空間を通して人と人との関係性を縒っていくという役割を生み出している。光源を内包することにより、夜の表情も提案し、多くのアイデアを空間に落とし込んだ非常に素晴らしい提案となっている。