坂口智・佐藤吹雪・田沼元「古書のある日常」
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「生きられる都市空間」=「多くの人々の偶発的な活動によって人々の記憶の一部となり、日常を彩る空間」と私たちは定義する。世界一の古書街である神保町を駅利用者にも浸透させるべく本計画を行った。
神保町にある5つの問題点を解決する。
問題点1:増加していく書籍数
地域の閉架書庫を作り、書庫に眠っていた書籍を「知の集積」として展示する。周辺大学・企業と連携し本を通じて様々なアクティビティを行う。
問題点2:複雑に接続する神保町駅地下空間
アップダウンなどバリアが多く構造もわかりにくい駅にアプローチする。出口の中でも利用者が多く地域全体に影響を与えるところに設計する。
問題点3:出口によって切り離される利用者
各出口の特徴を読み取り個性のある空間を構築する。
問題点4:滞留地の不足
駅出口特有の通過する人々に考慮しながら休憩・読書スペースといった滞留場所を作る。
問題点5:古書組合の活動・古書の浸透
古書組合の活動を地域に可視化させ、古書を通じたアクティビティを行う。
設計手法
1.滞留と通過を軸とした本のアクティビティ速度表に対応して機能を配置する
2.神保町の複雑な地下階段を保存、拡張し、それぞれの出口特性に合わせ、多彩な空間を構成する
3.渋谷都市開発のアーバンコアを用いて、神保町の都市空間の新たな核となる
4.地下と地上の空間比率を統一し、地下の空間性を建築内外から認識する
5.既存の蹴上、踏面寸法を統一拡張して、連続性を生み出す
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https://gyazo.com/e109d227d2d6d68c80077b79b06ccf7a集積するターミナル (A6出口)
神保町の古書文化が集うターミナル。様々な施設で古書と触れ合える。
機能:レンタル・ホテル・シアター・カフェ・オフィス・イベントスペース
https://gyazo.com/aea26998a45004d9362246507236ddfb日向テラス:日当たりのいいテラスで読書や談笑など人々が自由に活動している。
https://gyazo.com/887d3aa67a523c45261787524701fc6a読むホワイエ:アーバンコアによる連続空間で様々な視線が交錯する。
https://gyazo.com/147bb88a8c10c19388fa74373d55169eオープンテラス:既存岩波ホールの赤レンガを取り入れた地域の休憩所
https://gyazo.com/3e4aebb9260118df08103b5f70aa42b4静思するラウンジ (A2出口)
建物に挟まれた静かな空間。静かに読書勉強をすることができる。
機能:レンタル・勉強・イベントスペース
https://gyazo.com/ce2458ed0bee15fb4ce42d229d56e9ed吹き抜けのある大空間
https://gyazo.com/1c8b0283d6f5b7497cd0ef77b8598f73断面パース:すり鉢状に広がる空間
https://gyazo.com/212b37e1046b8235887507927e12c333交差するラウンジ (A5出口)
車道の交差点・地下鉄ホームといった都市インフラに接続していることを活かした滞留場所を作る。
機能:レンタル・勉強・カフェ・多目的エリア
https://gyazo.com/0dc1162129e1aaacffece327443d99d5改札前空間:カフェ・勉強・休憩エリアに多くの自然光が差し込む
https://gyazo.com/962b81e6721feb82976c5ed0fe16519c断面パース:様々な高さのスラブと吹き抜けで空間を接続する。
https://gyazo.com/8355af19dedf4024b737faf9416f522e運営スキーム
講評:神保町の地下空間に目を付け、神保町の顔でもある「古書」を媒体としながら、点在する地上出口と地下の関係を再構築しようとする意欲作。地下空間は移動の空間であることを見出し、移動のスピードの違いに応じた居場所の設計を丁寧に行っている。(井本)
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