前澤実優「西浦新しき村」
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静岡県沼津市西浦はみかんを産業とした美しい自然を持つ地域で、武者小路実篤の「人間が人間らしく生きる」という理念を手本とし、進化し続ける時代にあえて旧来の生活に目を向けて、自己の成長と地域の存続を目的にして生きていける場所として「西浦新しき村」を提案する。
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△静岡県沼津市西浦
静岡県沼津市西浦は9つの集落からなり、北に駿河湾と富士山、南にはみかん畑を持つ非常に美しい景観と文化を持つ地域である。しかし都心から2時間というアクセスのしやすさにも関わらず観光客は少なく、住民の高齢化に伴う人口減少が著しいため、西浦のみかん農業は衰退しつつある。
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△武者小路実篤の新しき村
今でも続くみかん農業をこれ以上衰退させないためにも、西浦の人口を保つ必要がある。そこで、小説家の武者小路実篤が生涯取り組んだ「新しき村」の仕組みや理念を取り入れ、持続可能性な農業と街を目指す「西浦新しき村」を提案する。
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△「村民」「村内会員」「村外会員」
西浦の9つの集落のどこかに住まいを持ち西浦新しき村で働く「村民」、週末限定で働きに来る「村内会員」、美術館に作品を保管・展示する代わりに経済的支援をする「村外会員」が西浦新しき村の住民だ。
みかん農業だけではない経済の仕組みを作ることで持続可能な西浦を目指す。
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△平面図
建物の主な使用用途は美術館、宿泊施設、みかん小屋。宿泊施設は災害時(津波、大雨など)には西浦の住民の避難所となる。避難所の形態は土砂に対応できるレモン型となっている。
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△西浦新しき村の様子
みかん農業が忙しい時期は収穫などのために、みかんの作業が少ない時期は美術館で展示会をするなどして村には一年中様々な人が集まる。
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△新しき村美術館
波打つ壁は空 に連続性を持たせるだけでなく、⾵景を様々に切り取るため⻄浦の景⾊や魅⼒を多様な⾓度から感じ取れる。⼭の形状に沿う形で建物が建つことでみかん畑との繋がりができ、みかん畑にある美術館としての⾵格を魅せる。ゴールにある富⼠⾒デッキで⾒ることができる富⼠と駿河湾の景⾊はこの美術館でしかみることができない美しい景⾊だ。西浦新しき村の村外会員となることで、この美術館に作品を保管・展示することができる。
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△1/150で作成した模型
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△賑わう村の様子
西浦新しき村は西浦の再興だけでなく自己の成長を目的とした人々が集まる場所だ。現代の社会に違和感を抱く者が自然豊かな環境に移住し第一次産業や芸術に触れ、地域の人たちとの交流することで、人間が人間らしく生きるという理念に近付けるのではないだろうか。
講評:最初は津波に関係する防災に関わる建築を提案したいというところから、この地区が防波堤を作らないポジションを選んだということで興味をもったのがきっかけ。調べていくうちに魅力的な地形・景観・環境・産業を持ち合わせていることを発見し、それらを全て活かして仕組み・建築・景観を形を作り上げた、三拍子そろった力作(山﨑)