伊藤幹也・鈴木菜々花・山中基暉「自然に呼応する住まい」
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現在、エネルギー消費に大きなムラがある事や室内温度差による健康被害、外気に接しない部屋にこもりがちな生活等が問題視されている。また、現在のスターハウスは3方向に開くメリットを十分に享受できていない。そこで、パソコンの水冷クーラーの仕組みをスターハウスに応用することで住環境を改善し、自然を味方にする住まい方を提案する。
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パソコンのCPUなどの発熱部分にポンプで水を循環させることで速やかに熱を吸収する装置である水冷クーラーをスターハウスに組み込む。
01.操作
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薄暗く住戸の出入りにしか利用されていなかった内側の半屋外について、靴下を裏返すかのように反転の操作を行うことで、外側に半屋外空間が配置され、生活が外側に向く。
階段室のあった三角の空間に雨水を貯めて貯水タンクに置換し、屋上に設置した太陽光パネルと連動させることで、自立型縦型蓄熱槽を作る。
02.提案
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昼間に貯めたエネルギーを熱に変換し、室温に応じて適切な温度を床下のパイプで床を使って巡らせることで、朝、昼、晩、そして四季を通して全ての部屋の室温を一定に、なおかつエネルギー消費を一定にする。
03.詳細
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屋上に太陽光パネルを設置することで昼間に30kW/hの発電を行い、この電力を熱に変換して貯水タンクで蓄熱する。このエネルギーを用いて貯水タンクに貯めた水を冬には加熱、夏には冷却し、各住戸の床下パイプに巡らせる。加熱は最大でおよそ2.5kW/h、冷却はおよそ550W/h必要になり、これらは太陽光発電で賄う。また、災害時には貯水タンク内の水をトイレを流す水として活用できる。
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一階にカフェやシェアキッチンを併設することで地域に開くとともに、2階以上の住戸には増築した半屋外部分にキッチンや風呂を設置することで、生活を外側に拡張させる。
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水冷クーラーによって四季を通してすべての部屋の室温及びエネルギー消費を一定にすることが可能となり、同時に生活を半屋外に拡張することで、自然と共生する新たな住まい方が実現される。
講評:「スターハウスの持つ強い建築形式、特に中央の階段室を現代的に読み替えるなら何?」という大喜利に対する、インパクトのある回答である。荒唐無稽なことを真面目に語るというのも、アイデアコンペならではで魅力的だ。惜しむらくは、この水冷システムから生まれる平面・断面計画、ライフスタイルの提案まで到達できなかったことだろうか。大胆さを忘れずに、次の挑戦に期待したい。(雨宮)