鈴木雷真「変容する構造体」
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南青山という街を見て受けた印象として、デザイン性の強い建築物が建ち並ぶ中で、何か圧迫感のあるものを感じた。そんな建築と対峙させるよう考えたものはスケルトンインフィルという構造体である。ただのスケルトンインフィルではジャングルジムに迷い込んだ人がその中で過ごすような閉じた空間になる為、より圧迫感を感じてしまうだろう。そこでスケルトンを違うスパン・太さで組み、そこにインフィルを無造作にずらしながら落とし込むような、柔軟性に富んだ、開けた空間を作り出す。そこで生まれるずれによって、無かった開放感を生み出し、なおかつ自由に設計できる利点を生かし、住み手によって住まいの形が変わるように、その成長とともに建物もリフォームできるなどの点でこの構造を採用した。
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外観としては3種類のスケルトンが建っていて中央、南側、北側の順で大きさが変わっている。細かいスパンでは大胆さがなく迫力が損なわれてしまうために中央に広めのスパンを組み、部屋を広く大きく使える無柱空間を作った。南側には標準的に一番近いスパンを取っており、一般的な住戸の形となっている。北側には一番短いスパンを取っていて柱はやや多いが、リフォームがしやすい環境になっている。インフィルは違う大きさの箱を配置することで住戸と住戸の隙間を作り、光や風を通し開放感を感じられる。また、ずれによって生まれたスペースを有効的に活用しオープンスペースにした。
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SIの在り方はリフォームの容易さにもある。時が経つにつれ 変化していくと共に、建物にどのような変化が起こるかは予想ができない。そこで上記のように写した。スケルトンによるスカスカな空間やインフィルによる密度のある空間や飛び出しているような今までにない構造体など、どんなカタチへも変化し、進化していくことができる。地域特色にあわせるのか、利用者にあわ
せるのか、柔軟な可能性はこのSIの特徴であると考えられる。様々な姿へと変容していく構造体の姿に驚かされるだろう。
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スケルトンを考えて構造を決めてさらにフレームを分けることで違いを生んだ。そこにインフィルを組み込みずらすことで自由なカタチへと変容していくことができた。
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▷物販店 パース
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▷北側からのパース
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▷和室 パース
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▷各階平面図
黄色:店舗共用部 青:店舗 赤:住宅共用部 ピンク:住宅
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▷立面図
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▷断面図
講評:ずらしていくこと、それも無造作に行うことは多くの無駄を伴うことになる。それでも何かよくわからない隙間や重なりを手探りに発見して行く行為は、新たな可能性を模索していくスタディそのものである。そしてそのスタディによって従来のスケルトンインフィルの形式に対してほんの少しでも新しさを見出すことができた作品である。「変容する構造体」というタイトルは、構造体としての意味を変容できるかもしれない、ということである。(篠崎弘之)