荻島紗季「想起のち、此先 -東日本橋における街路形態の変容に着目した建築空間の提案ー」
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ここ東日本橋(江戸の都市)はグリッド形態の都市が誕生してから数百年、技術の発達により都市の様子は大きく変化したが、何百年たった現在でも少し形を変えながら受け継がれている。歴史的な都市の変容と継承を、この現代での建築を通して感じ、都市に関心を生み出す。そして、その関心を都市に還元し、受け継がれてゆくであろう未来の都市を創造する。
また、新しい軸の挿入によりグリッド形態による空間にどのような空間が生まれるのかを提案する。
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ダイヤグラム_1:時代ごとに取り出した地図を白黒化し、特徴を抽出
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ダイヤグラム_2:街路と人々の活動の変化
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断面パース
断面構成として、現代の都市構造のもととなっているG2をGLとし、都市のレイヤーを積層させる。
ダイヤグラム_1から都市の書き換えが起こった時代のスラブに視覚的変化を与える。(都市の書き換え①:GL、都市の書き換え②:3階スラブを構造階へ)
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①ダイヤグラム_1の背景から、歴史的背景を引き出し、壁を与える。
②敷地調査から得た各時代のランドマークとなった建造物を現代の機能に置き換えつつ、時代による人々の道での活動範囲とともに床を配置する。
③時代を積層させたときに、時代によって付加された道を階段として表し上下階のつながりを生む。
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①②から出来上がった空間:・江戸時代の会所地空間が地下階から最上階まで広がるヴォイドとして時代を超えてつながり、都市のレイヤーを見上げる(見下ろす)
・都市のレイヤーの造形が視覚的に空間に現れる→都市に対して関心を持つきっかけの一部になる。
講評:荻島さんが関心をもったのは都市のグリッドパターンの変遷と街路と人の活動の関係である。これらを都市のメタファーとして抽出し、提案する公共施設のフロアにオーバーレイさせた。この作品は、半ば偶発的な街路パターンの積層を建築的に上手く処理して、変化に富んだ空間を生み出すことに成功している。もし建築の内部を歩くことができれば、吹き抜けで交差するブリッジや廊下などから日本橋の街路や人の営みの変遷を体感できるのではないだろうか。最初の設定を生かして建築空間を作り込めている点を評価したい。(山中)