興津亜海「WAVE」
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CONSEPT
「多様性」
人の性格の違いを波長ととらえ、異なる波長が重なって一つの波になるイメージを持ち、外に出たり内側に入り込んだりするような波形を描いたフロアのデザインとした。
性格も年齢も国籍も育った環境もすべてが違う人々が集合住宅として同じ屋根の下で生活をする。またそこに店舗を利用するたくさんの人が集まる。
波が打ち寄せて引き返していくように、人は仕事や学校に行き、この場所にまた帰ってくる。その様子を波ととらえ、波がこの場所から外に広がっていくようにした。
また、人の感情が波のように伝達するように、この場所から感情や文化を共有して世界に広がっていけばいいという思いを込めて波形を用いたWAVEを設計した。
フロアごとに異なる波形が軽やかに動き出すような印象を与え、前を歩いていても圧迫感が軽減される。
波形に生まれた隙間には豊かな外部空間を持たせ、建物内部からも開放的な空間となっている。
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フロアごとに異なる波形のスラブにしているため、光の入り方や、影の落ち方が異なり、単調にならないようにした。
共用廊下は外部空間のため、風が通り、気持ちの良い空間になっている。
さらに、吹き抜けを不揃いの曲線で開け、空気が上にふわっと上がっていくような体験になる。
最上階の住宅は廊下と同じように天窓を設け、最上階ならではの光体験ができる。
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吹き抜けに加え、波形の一部にくぼみを設け、テラスにすることで、下の階にも光が届き、外部空間に出ることのハードルを下げている。
また、この建物の前を通った人にも圧迫感を与えないよう工夫し、波形による影を楽しめるようにした。
同じフロアの中でも2種類の波形が存在している。外壁はカーテンウォールとし、テラスの手すりもガラスにすることで、反射の仕方が変化し、面白い体験ができる。
柱は丸柱にし、フラットプレートにすることで外観が軽やかに見える。
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▲模型平面
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▲1F平面図
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大人はのんびり子供は走り回って、時には山の上で休憩。
交差点からもよく見える位置に大きな外部空間を設けることで、行ってみたいと思うきっかけに。
この先北坂に向かって歩道がないため、歩道を拡張することで立ち寄りやすくする。
広場の子供たちが外に走り出ないよう、歩道から下るように広場に入れる。
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▲2F平面図
1階の凹凸を2階にも取り入れることにより、上下階を緩やかに繋げている。
全面ガラス張りで明るく、交差点からもよく見えるため、人が多く集う場になることを期待している。
フードコートがある2Fは広い屋内空間とし、和食のフードコートとした。日本の書道や茶道、着付け体験は、外国人にも、日本人の習い事としても良いと考えた。
日本に興味がある外国人や、近所の住民や、たまたま立ち寄った観光客、今日は料理が面倒な住民など、多様な人々が交流する空間になってほしい。
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▲3F平面図
雨の中でも子供たちが太陽のようにはつらつと遊ぶことができるように、1階や2階と同じように地面に凹凸を持たせ、住宅で過ごす雨も楽しむことができるようにと考えた。
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▲4F平面図
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▲5F平面図
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上階に行くにつれて住戸の密度が上がるが、最上階の5階には天窓が設けられているため、明るく、窮屈に感じることのないようにした。
共用廊下の吹き抜けからは、下から空気が昇ってくる。また、上部の吹き抜けは大きく開けることで、どのフロアよりも明るくなる。
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共用廊下には複数のベンチ屋吹き抜けが設けられており、家の中にとどまらず、共用部でもくつろぐことができる
テラスを大きくとることで、プライベートの外部空間でくつろぐことができる。
講評:曲率やリズムの異なる曲線を描くスラブが積層して織りなすファサードが、楽しげで華やかな印象の建築となっている。各階のスラブに穿たれた無数の穴がもたらす光と風は、まちに開かれたこの複合施設を利用するすべての人が享受できる。年齢も国籍も問わずあらゆる人に分け隔てなく、多様な人を受け入れたいという興津さんの想いがこのかたちには込められている。(水野)