福井勇仁「Pedestrian Street Hierarchyを用いた都心部街路ネットワークの特性 -メルボルン市CBDの政策体系及び空間的特徴の分析-」
修士論文/2024年度
https://gyazo.com/e2bca32d9d5c26ec51a8de15e2d58c07
本研究は、オーストラリア・メルボルン市の中心業務地区(CBD)を対象に、同市の歩行に関する政策体系及び都市内での利用者のアクティビティなどの空間的特徴の分析を通じて、Pedestrian Street Hierarchyを用いた都心部街路ネットワークの特性を明らかにしたものである。
研究の背景及び目的
近年、国内都心部では歩行者数の増加と自動車交通量の減少が見られ、人々が安全に歩行・滞留できる人中心の街路ネットワークの形成が課題となっている。一方、従来の街路計画は「ブキャナン・レポート(1963)」に基づき、交通中心の視点で形成されており、歩行や滞留を考慮した計画が不足するため、重点的に再編する街路の選定が困難である。そこで本研究では、歩行・滞留を考慮した街路ネットワークの事例として、メルボルン市の「Pedestrian Street Hierarchy」に着目した。Pedestrian Street Hierarchyは、2014年に「Walking Plan 2014-17」に基づき導入され、歩行促進に向けた街路分類と管理方針を明示している。また、メルボルン市は1985年以降、交通インフラの再編を通じて人中心の街路ネットワークを形成し、現在も歩行・滞留を重視した街路整備を継続している。したがって、Pedestrian Street Hierarchyを中心とした計画実行の仕組みや街路の空間的特徴の分析は、国内都心部における人中心の街路ネットワーク計画への有効な示唆を与えると考えられる。
https://gyazo.com/78cb1136d1a732e8b74b74d04f2d4b82
研究の方法及び論文の構成
本研究は、主に以下の3点の調査・分析をもとに、Pedestrian Street Hierarchyを用いた都心部街路ネットワークの特性及び国内への応用可能性を考察した。
①メルボルン市が示す計画や戦略(政策)を用いた文献調査及びメルボルン市職員を対象としたヒアリング調査による、Pedestrian Street Hierarchyに関する政策体系の特徴分析
②メルボルン市の政策とGoogleストリートビューを用いた文献調査によるCBDの街路ネットワークの特徴分析
③現地でのアクティビティ調査による街路の空間的特徴の分析
研究の成果
Pedestrian Street Hierarchyに関するメルボルン市の政策体系の特徴:
政策体系の特徴は、❶都市ビジョンから分野及び目標期間を段階的に細分化し、個別分野の計画を策定する、❷政策に即した整備を推進し、独自の評価指標を用いて整備の評価及び政策策定のリソースを提供するデータ駆動型プランニングであることが明らかとなった。https://gyazo.com/545cfbf3e1691c4426740ea3e6bc26a9
CBDの街路ネットワークの特徴:
CBDの街路ネットワークは、広幅員街路が公共交通による広域の歩行者移動を支え、中幅員街路及び路地が街区内の細分化した歩行者動線を形成する。加えて、Pedestrian Street Hierarchyにより、主要交通結節点からCBD中心部及び路地への歩行または滞留を担う街路を明確化し、交通管理を通じた歩行者優先空間の管理方針を定める特徴がある。また、Pedestrian Street Hierarchyの位置付けがある街路では、行政の交通制御実施(トップダウン)及び民間の街路空間活用推進(ボトムアップ)の傾向があり、Pedestrian Street Hierarchy位置付けの効果が確認できた。
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Pedestrian Street Hierarchyの位置付けがある街路の空間的特徴:
街路の空間的特徴として、路地では沿道の飲食店が主体となり、路上客席の設置及び運営を担う。特に、Streets as Placesは路上客席の高集積を図る一方、Walking Streetsは混雑緩和を重視し、歩行空間を確保することで補完関係を形成している。High Mobility Walking Streetsは、LRT整備による交通モードの限定及び沿道建築への荷捌き制限により、多様な活動を包摂しつつ、良好な景観を形成することが確認できた。
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国内への応用可能性
国内の都心部での地区単位の街路ネットワーク再編への応用可能な知見は以下の3点であると考える。
❶長期ビジョンや広域の交通政策と整合したウォーカブル推進計画を策定し、調査や指標の設定等データ駆動型プランニングを構築する。
❷鉄道駅から地区内への主要動線をLRT整備で形成し、街区内は細分化した街路網を維持する。加えて狭幅員街路は滞留と歩行の役割を明確化する。
❸滞留を促す街路では、沿道に路上活用を担う飲食店等を集積及び交通制御による物流インフラ調整より、路上活用の機運を醸成することが重要である。
【参考文献】
1)国土交通省(2019)「まちの活性化を測る歩行者量調査のガイドライン」
2)新谷洋二,原田昇 (1993)「都市交通計画」,技報堂出版
3)イギリス運輸省(1965)「都市の自動車交通 イギリスのブキャナン・レポート」,鹿島出版会,八十島義之助・井上孝訳
4)City of Melbourne(2014)「Walking Plan 2014-2017」
5)City of Melbourne(2019)「Transport Strategy 2030」
6)City of Melbourne(2012)「Transport Strategy 2012」
7)City of Melbourne(2008)「Future Melbourne 2008」
8)City of Melbourne「Pedestrian Counting System」https://x.gd/kqiR4c (閲覧日2025年2月1日)
9)Victoria State (2019)「Movement and Place Strategy」
指導教員:泉山塁威
講評:ここに入力(改行は不要)(泉山塁威)
#福井勇仁 #2024年度 #修士論文/2024年度 #街路ネットワーク