熊谷拓海 「色彩」
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設計主旨
敷地調査のから、小さい子から老人まで幅広い年齢の方が住みやすいように計画されているような街だった。そこから、年齢に捕らわれないような内部空間をつくるように心掛け、共用スペースを中央につくり、この施設の中心となるようにした。
外観は住宅サイズの建物が密集しているような見た目にし、色や形が周りの敷地と馴染むようにした。そして外から見た時、共用スペースに集まった人や活動、内部の雰囲気が見えるようにガラスファザードが特徴的な建物とした。壁をエッジを強調したモノトーンの落ち着いた色にすることで、対照的である曲線的な形の人や人の肌や身に着ける物の色が目立つようにした。単調な建物に形や色を付け加えにぎやかな地域センターとなるように設計した。
壁の面積を少なくし、建物全体の透明度を高することで内部の閉鎖感や外部に対する圧迫感を無くし気軽に立ち寄れるような地域センターを目指した。
ダイアグラム
① ② ③ ④
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①部屋の配置を決める。
②連続していた部屋をそれぞれ離し、視覚的な抜けをつくる。この時、抜けが直線的に貫くように室と室が重ならないように間隔を開ける。
③施設の周りを囲むように緑を配置する。抜けた先に植物が見え、奥行きを出してくれる。空いている各室の中心に共用のスペースを置く。
④1階と二階はスキップフロアのようになっており、ほとんど段差がない平面的な空間となっているため、相互に干渉する割合が大きい。側面がガラスで抜けも多いため、視線が交差しやすい。
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断面 B1,屋内広場,1F,2Fの関係
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断面
壁の高さを室の利用目的に合わせ室ごとに設定した。そうすることで建物全体がガラスで透明度が高くても、プライバシーを保ち、快適に利用できる。
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1階、2階、屋内広場
2階には、皆が集まって楽しく使用するような室を配置した。左下から右上に向かって多目的、児童室、調理室、工作室となっている。
その各室の中心に共用スペースを置くことで通り道や小休憩スペースとなる。
多目的(中高生が卓球など)、児童室(幼児、その親)、調理室、工作室(親子、親世代など)、和室(老人)など異なる年齢層が利用しがちな施設をワンフロアにまとめ、共用スペースで繋ぐようにした。
通る、留まるという動作が頻繁に起こりコミュニケーションが起こりやすくなる。
こうすることで様々な人が交流することになり、2階の共用スペースに滞在する人が増える。
入口は2ケ所。施設内にも芝をひき一連の道とすることで、内部と外部の連続性を強めた。そうすることで、道に流れるように施設内に入れるため、気軽に入りやすい。
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屋内広場
屋内広場は、フリースペースとしスポーツからヨガ、映画鑑賞、講演会、フリーマーケットなど様々なことが出来る。
気軽に足が運ぶように、入口の近くに動線を敷いた。イベントでも使いやすいよう駐車場側にも大きな開口を用意した。
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建物すべてが一体の空間となっているため屋根の高さを変えるという操作で空間の区別化を図った。
調理室の近く、エレベーターフロア、他にはカフェスペースなど休憩、食事がメインとなる場所には低い屋根を設け落ち着きやすい空間をつくった。
各室だけで活動が行われるだけでなく、共用スペースにも干渉するようを各室内の床を連続させるようにした。
そうすることで、調理室で作ったものを周りの席で共用スペースにいる人が食べることが出来たり、工作室で作った作品を展示したりすることが出来るようになる。
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1階、2階、屋内広場の高低差を抑え、連続性のある広い空間となっている。
天井の高さは約9m(2Fからは7m)ほどの高さにし、圧迫感が出にくいようにしている。
1階、2階、屋内広場の天井までの高さを確保し、外観のスケールを住宅と同じにするため建物は半地下となっている。
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1F,2F平面図
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地下階
地下階は、会議室、勉強室、コワーキングスペースの静かな空間で構成した。
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廊下を広く取り、2階と同じように抜けをつくることで天井が高くなくても広い空間と感じられる。
抜けの先に木を置いたり、床を外と同じように芝を引いたりすることで緑が視界に入りやすくし、ドライエリアを設けることにより地下となっていても明るく開放感のある空間ができる。
また、壁が無機質な色をしているため緑が映える。
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住宅地側に大きめの庭を設けることで道路に面していない空間にも光が入る。
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地下階、屋内広場平面図
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南側立面図
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西側立面図
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C-C'断面図
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B-B'断面図
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A-A'断面図
講評:建築的な架構としての様々な構成要素を用いたとても複雑な作品である。地域センターという、課題のプログラムとしてはシンプルながらも、それぞれの居場所の目的と快適性を実直に模索していくことで獲得した複雑性であり、鮮やかに破綻なく全体像が出来上がっている。「色彩」というタイトルにあるように、この地域センターの利用者の各々の活動が、その複雑な構成の中で多様に色づいていくことが想像できる先品である。(篠崎弘之)