江村菜々美「塵が積もる。みちとなる、」―資源の自律的循環が導くケニアスラムの再生計画―
卒業設計/2025年度
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〇設計概要
ナイロビの強制撤去後のスラムで生まれた自律的な資源循環に着目し、それを駆動する施設を提案します。
ゴミ・水・食といった日常的な資源循環を対象に、第一段階では諸機能を集約した拠点を母体とし、その後段階的に移設・複製させます。住民が関与する小さな循環拠点を配置し、人と資源が行き交うみちを編成することで、資源を媒体としたスラムの一体感と持続的な運営基盤をつくる計画です。
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0.ケニアとの出会い
2024年夏、ケニアのムクルスラムでの建設プロジェクト「DONATION ROOF」に参加した。
(DONATIONROOFについてーhttps://syncable.biz/campaign/6047)
20日間の建設を経て、建築の力で何かここの人たちのためにできないかと考え始めた。
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1. 再開発がもたらしたコミュニティの分断
ケニアの⾸都ナイロビには100 以上のスラムが存在する。第3の規模を持つムクルスラムでは、2021 年11 ⽉に政府主導の再開発を⽬的とした強制撤去が起き、多くの住⺠が住まいを失った。現在も建設は進むが、かつて路地で育まれていた関係性や⼀体感は分断されている。
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2.路地の祝祭性
建物が密集するスラムでは路地が⼈々の交流の場として機能している。⽇中には軒下の⽇陰に⼈が集まり、洗濯などの⽇常⾏為を通して近隣住⺠同⼠の会話が⽣まれ、路地は⽣活と交流の中⼼となっていた。
⼀⽅、強制撤去が⾏われたエリアでは建物間の距離が拡⼤したことで⼈の⾏き来や活動の重なりが減少しまちとしての⼀体感が弱まっているように感じられた。
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3. 循環するゴミ⼭に内在する未整理な価値構造
近代的な廃棄システムでは、ゴミは最終処分場で役割を終える⼀⽅通⾏の存在である。
⼀⽅、ムクルスラムでは廃棄と再利⽤が混在し、ゴミ⼭は「ゴミの終着点」と「モノの出発点」という⼆つの役割を担っている。
強制撤去から2年後の2023年、敷地内に⾃然発⽣的なゴミ集積地が形成され、ウェイストピッカーの⽣業の場となった。ここではモノの価値が実⽤性に留まらず更新され続けるが、その循環は整理されないまま拡⼤している。
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4.現在の自律的な資源循環を駆動する
対象エリアで実際に⾏われている資源の循環を、住⺠へのインタビューやフィールドワークを通して調査した。
その上で、現在動いている資源のサイクルに新たな「点」として関わる施設を提案する。この施設は、ゼロから仕組みをつくるのではなく、既存の循環をつなぎ直し、活動を広げるための拠点として計画する。
それぞれのサイクルが重なり合い、相互に影響し合うことで、より複雑で豊かな循環が⽣まれる状態をつくる。こうした関係性を空間として具体化することで、まちの中にある⾃律的な動きを強め、将来への発展につなげる。
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5.提案
この既存の循環を基盤とし、ゴミ・食・水の3つの資源を軸にした資源循環施設を提案する。
Ⅰ.設計プロセス
まず、資源循環の機能を⼀時的に集約した「⺟体」となる建築を建設することから始まる。
この建築は、ひとつの拠点として機能しながらも将来の分解・移設を前提とした個の集まりとしてデザインする。エリアの密度や各エリアのニーズに応じて、ここから機能が少しずつ切り出され、16種類の⼩さな建築として各所へ点在していくことで、⺟体に集約されていた循環の仕組みがまち全体へと分配されていく。
いずれ⾼密度になるこのエリアでは、最初は母体を中心に、最終的にはエリア全体でスラムの資源を⾃律的に循環させる。https://gyazo.com/4081e5ed41dd75377667b412d20353f6https://gyazo.com/4a2b829856d6774f30899bcef9caa536
Ⅱ.Phase1【母体】
母体は、現在の資源の中心的存在であるゴミ山のすぐ横に建てる。
ゾーニングはリサーチをもとに、この施設自体がまちの縮図となるようにした。
移設・複製を前提としているため、部材もここの地で手に入るトタンや木材を主に使い、実際に自分が建設した建物で、屋根材として使われていたものが壁材に転用されていたりと建設後に住民の手によって使いこなされていた経験から、その余地を残すデザインとしている。
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Ⅲ.Phase2【点在】
そして、これらの建築は周辺の密度に応じて、段階的にまちへと分配していく。
リサーチより、自律的な資源サイクルの場所をプロットし、資源ごとのまとまりを見出す。そこから、新たな点を見出し16種類の機能に分かれた小さな建築を置いていく。これらの小さな建築は活動の拠点となり、仕事も生まれお金も生み出される。
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Ⅳ.未来の建築の使われ方
小さな建築は、資源循環の役割を担うと同時に、生活の拠り所になる。移設したあとそれぞれの機能を保ちながら、住民によって使いこなされていく。
これらの小さな建築はみちしるべとなり、点と点の間にみちができる。
そこで資源のやり取りができ、その道に呼応するように周辺の建物も建設されていく。
そして、資源のまとまりごとに住民同士の協力関係も生まれる。
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6.さいごに、
未来のスラムがまた、高密度になっていったとき、一度分断されたこの場所は、資源を媒体としてまちに一体感が生まれていく。衛生問題やインフラも自分たちの力で少しずつ改善していく。
そんな状況は、強制撤去前のスラムより、少しだけより良い生活ができるのではないだろうか。
そんな役割を建築は担うことできる。そう信じて、  
塵が積もる。みちとなる、
https://gyazo.com/d909e676937d329eb000ebcb355bbb10
〈Award〉
卒業設計桜建審査会 2026  桜建賞 / 非常勤講師 仲條雪賞
日本大学合同卒業設計展NUDC 最優秀賞
全国合同卒業設計展 「卒、26」 1日目 優秀賞
全国合同卒業設計展 「卒、26」 2日目 10選
せんだいデザインリーグ2026  100選
第35回JIA東京都学生卒業設計コンクール2026 金賞
JIA全国学生卒業設計コンクール2026 6/27 出展
指導教員:山中新太郎・三宅貴之
講評:
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