安西祥大「尽くされる玉川上水上水」
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かつて江戸・東京には街と人を潤してきた水路として武蔵野大地を駆け巡った玉川上水が存在する。この玉川上水は、機能的だけでなく街の記憶や文化的価値としても人々に恵みを与えてきた。しかし、現在の水脈はいくつかの分断があり本来の機能はほとんど失われ、街の繋いできた歴史的・文化的な豊かさは減少している。そこで均質的な街としていくのではなく、街を繋いできた時間、土地を意識化させる為に現状の変化は受け入れた上で、玉川上水の環境を意識化できる環境装置としての建築を設計することで玉川上水を再興する。
Ⅰ背景 尽くされていく都市空間https://gyazo.com/4f23bd7de2b6cc759a46e3cb52a0d498
玉川上水は、現在に至るまで、住民に生活用水や灌漑用水を供給すると共に親しみのある自然と風景を与えてきた。かつてこの水路は住民の生活に不可欠のものであったばかりではなく、様々な歴史的変化がありながらも自然環境の涵養や歴史、文化的な面でも存在価値がある環境遺産である。しかし現状としては水路としての機能はほとんどなくなり文化的豊かさは失われている。
Ⅱ問題意識
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Ⅲ調査・分析
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かつて、玉川上水の水は羽村で取水されてから、四谷(新宿)まで同じ水が流れ続けることで、武蔵大地全体にも多摩川の水が広がることで、玉川上水は街の記憶として繋がりを生んでいいた。しかし現状としてA~Fの点は現状の玉川上水の水脈の変遷をプロットしたものになり、「A:水を取り入れる場所B:並木に入る場所C:取水した水と再生水が入れ替わる場所D:暗渠化する場所E:暗渠化された玉川上水が水道管として露出する場所F:緑道化されてしまった場所」である。この街の記憶を繋いでいた玉川上水の存在は薄れている。
Ⅳ提案 尽くされていく建築
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①変遷点を集め尽くす
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玉川上水を調査より上流ではかつての原形が残る一方で、下流にいくにつれ様々な水脈の変遷を見つけることができた。さらに玉川上水の水路を上流から下流にかけて水路を見ていくとまるで玉川上水の歴史の変遷を一望しているような体験が出来た。そこから、玉川上水の歴史の変遷と水脈の変遷を重ね合わせ変遷点が線状に繋がることで、過去から未来への歩みとしていき玉川上水を再興する。
②形態を使い尽くす
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それぞれのポイントごとの時代背景よりその場所における象徴的なことを尽くされる形態として抜き出していく。これらの要素は時代背景より建築形態を作り尽くされる形態として建築化される。
それぞれ抜き出された形態は水の流れが上流から下流にかけて流れていくように、建築形態も下流部に流れるにつれ徐々上流の要素を付加されつつ集積されながら、建築が構築され新たな玉川上水として見立てられる。
Ⅴ変遷点
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A:現状玉川上水の源流としての場所でありながらも、水路との関係性は薄いことからデッキが張り出すことで、水路との関係が近づき玉川上水に対しての意識を取り戻す。
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B:かつて玉川上水の周囲には、桜並木が植えられその間にデッキが生れていた。かつてのようにフレームが入り込むことで、玉川上水が開通した時のような水路との関わりが生まれる。
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C:玉川上水の周囲に存在した分水のように水が地形に沿って流れ、人の動きを水が流れに見立てることで街と絡みあう。
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D:暗渠化する場所であり、空間内部に入り込んでいくことで、まるで地下に入り込むような空間体験が変化していく玉川上水を意識化していく。
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E:ここでは唯一水道管として露出している場所である。水道管に対して寄り沿うような空間とすることで新たな玉川上水との関わりを作る。
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F;緑道化した玉川上水に対して、上流より集積化された形態が見え隠れする玉川上水を構築していく。
模型写真
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講評:ここに入力(改行は不可)(山中新太郎)