奈良輪楓「community slope」
建築設計Ⅳ 代官山コンプレックス/2021年度
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設計主旨
代官山は、非常に歴史の深い街であり、有名な坂道が数多く存在している。現在、この街は若者を中心に賑わっているが、坂道の魅力を認知して訪れる人は少ないだろう。そのまだ知られていない魅力である坂道を伝えるため、多くの人々が行き交うこの敷地に坂道を表現した飲食主体の商業施設と集合住宅の複合施設を提案した。
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1〜3階は商業施設、4〜6階は集合住宅となっている。坂道は主に商業施設の部分に表現されており、自由な形をしたスラブを高さをずらして配置してそれらを階段で繋ぐことで緩やかな高低差を演出している。また、集合住宅の部分はボリュームを4つに分けることで、低層階の軽やかさを継承するとともに、各住戸の採光や通風を確保している。
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商業施設は、自由な形をしたスラブの一部がガラスによって囲まれ、内部空間が作られている。内部には飲食店が並んでおり、買ったものを好きな場所で飲食することができる。そうすることで、飲食する環境の多様性が生まれるとともに、動線と居室の空間の区別を曖昧にすることで人々の活動が流動的となる。
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4階より上のフロアは集合住宅となっている。スラブはつながっているが、住棟は4つに分節されており、各住棟につき2戸の住戸が収められている。住棟を分けることで全ての住戸は3方向に外部と接し、L字の広いベランダが確保されている。また、住戸の間取りは、南北に縦長の配置であることを利用し、LDKを長手方向に貫通させることで空間を光と風が通り抜けるようにした。
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外観は、スラブ勝ちの表現とすることで水平ラインを見えやすくし、スキップフロアとなっていることを強調している。また、4階のスラブを最も厚くすることで、高さ10mのラインが最も強調され、敷地周辺の低層建築物との調和を図っている。
また、住棟を分節したことで隙間から敷地の向こう側が見え、建築全体として透明性を保持している。
指導教員:小泉雅生
下階の商業施設と上階の集合住宅を対比的に扱い、空間デザインにストレートに翻訳した提案である。手堅くまとめた印象があるが、個々に求められる設計条件を丁寧に読み解いた結果といえよう。上下を対比的に扱いつつも、全体としてバランスのとれた立面となっており、デザイン力の高さがうかがえる。上階の集合住宅部分への提案が弱かったところが惜しまれる。
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