大野楓「格子を介して」
https://gyazo.com/3aabad83d2351f061cf73effb37d13b1紙が語り継ぐ、谷中の街並みと暮らし
谷中は古くからの街並みを引継ぎ、そして守られている。
谷中銀座から流れる昔の街並みと人々が賑わう気配、谷中霊園に漂う静寂と落ち着き。
そんな空気が広がる閑静な住宅街の一角で本の楽しさ、面白さ、そして大切さを紡ぎ、残していく家族のための店舗兼住宅。
谷中らしいプロジェクト
計画敷地である谷中は昔からの雰囲気を大切にしている町である。そこで電子書籍が普及している現代において紙の本の良さを伝え、継承していくことのできるブックカフェは谷中の街並みと調和していくだろうと感じた。
そのため、ブックカフェを営む4人家族(父、母、息子2人)の住宅を考えた。
https://gyazo.com/03d6e4ec12348bf1312c927efeb41b15https://gyazo.com/f9f5b685ad959ac986c58c5fb622e16b
敷地調査:住居と路地を巡る谷中らしさ
谷中銀座から流れる賑わいと谷中霊園に漂うもの悲しさが張り巡らされた路地空間に脈々と流れている。
入り組んだ路地は住宅と公道を表裏なくつなげ、敷地内と敷地外を限りなく近い形で隣り合わせている。この谷中の路地の特徴を住宅の内部にまで取り込むことで、谷中の街並みに流れている空気が住宅にも流れ込む。
https://gyazo.com/6f12c4886188dc1089dcc4d9ad5007d8細い通路が三重に隣り合わせ、格子によって通路を区切ることで路地に現れている表裏の関係を表現した。
https://gyazo.com/97704e2aba167819e7ddb0a17536cd62子供が勉強をするときや家族が読書をするときなどはカフェ部分に住人が流れ込むことでブックカフェスペースにも住宅としての機能が混ざり合う。また、ブックカフェスペースと建築全体のそれぞれで回遊性のある動線を考え、その中から様々な動線を確保し、自らが選んで建物内を歩き回れる。
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講評:計画地の地域特性からブックカフェというプログラムを導き出し、そこから「本棚壁(格子壁)」を考案し、これによって建築全体を構成する計画である。格子壁の奥行や、格子壁を複数枚立てることで透過性をコントロールし、公私が緩やかに繋がるプランは、機能と空間がうまく呼応した秀逸な提案である。(近藤創順)