加藤幹基・鈴木望乃梨・松村瑞希・山口弥華「Residence Space of VOID」
夏季集中デザインワークショップ/2022年度
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Concept
ビル群に支配された都市スケールをヒューマンスケールの元に取り戻す。その為の操作の一つとして、私たちは都市のヴォイドに着目した。私たちが定義した都市のヴォイドとは、例えば駐車場や空きテナントなど、建て替えやテナントの入れ替わりが激しいエリアで見られる、生まれては解消される一時的な空間を指す。私たちはこのヴォイドに対して、「現状ではエリアの魅力を損なう位置づけである」と評価し、ヴォイドを整理し、居心地の良い滞留空間を生み出すことで内神田のヒューマンスケールを再定義することができるのではないかと考えた。
Research
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エリアを内神田1丁目に絞り、都市のヴォイドと見なせる駐車場、空きテナント、屋上や避難階段を抽出し、それらのヴォイドが密集する12から13番地を計画敷地に定めた。計画敷地は自動車の往来が激しい道路に囲まれたブロック内に、細い路地が通る構成となっており、テナントビルやマンションが立ち並んでいる。
駐車場の考察としては、いつか建物が建つであろう敷地を一時的に使用しているため、統一性がなく、無駄な余白が生まれ、利用者や都市にとって居心地の悪い空間となっていることが分かった。しかしエリア内では唯一空が高く、広いヴォイドであるため、うまく活用すると心地よい空間になる可能性があると考えた。
路地は、空きテナントが多いエリアであるため、人通りが少なく、静かな道であるとともに、一部の利用者にとっては職場から距離を置き、一人になれるくつろぎの場となっているのではないかと評価できる。
空きテナントは、テナントが埋まらない一番の要因は、人が少なく活気づいていないからだと考えられ、この計画敷地には人が立ち寄りたくなるような空間が必要なのではないかと考えた。
また、計画敷地を利用する人の考察として、オフィスで働く人々は働く以外に目的がなく、家と会社の往復の生活になっているのではないかと推測し、働く合間の休憩が楽しみになるような仕掛けがこのエリアには必要なのではないかと考えた。
Diagram
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行った操作は、抽出した計画敷地内のヴォイドを、建物のコアを考慮しながら整理し、広いヴォイドである駐車場を中心に、抜け道や滞留空間が生まれる場所を想定しながら、建物の足元を開けたり削ったりして、空きテナントやエントランス、車庫などのヴォイドを中央の駐車場と緩く繋げた。また明るさを感じられるように、黄色で統一させることで、大通りと路地の他にもう一つの新たなヒューマンスケールの道を生み出した。
Plan
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▲立面
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▲平面
Expectations
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期待できる効果
これらの操作により、オフィスで働く人々の日常にちょっとした変化をもたらす。
出勤時には、お気に入りの抜け道を通ったり、アートが飾られたヴォイドが一日の始まりを元気づけてくれるかもしれない。仕事の合間には、特等席の日陰で仕事から距離を置いてリラックスしたり、ばったり会った人と世間話が弾むこともあるだろう。お昼には駐車場に来たキッチンカーから美味しそうな匂いがヴォイドを通して広がり、働く人々の食欲をそそる。人気のキッチンカーは、いつか空きテナントに腰を据えることになるかもしれない。駐車場にキャンピングカーを置き、テーブルとイスをヴォイドに広げれば、職場の人や、内神田で働く人々と交流しながらミニキャンプをして楽しむこともできる。帰宅時には誰かと待ち合わせをしたり、ヴォイドでビアガーデンを楽しみ、明日の働く活力に繋がるかもしれない。
ヴォイドを緩くつなげることにより生まれる滞留空間や、新たなヒューマンスケールの道は、内神田で働く人々の日常をささやかに彩る。エリアを利用する人々にとってこれらの装置が内神田を魅力的にする一つになれば良いなと想像しながら制作した。
指導教員:須藤剛
講評:路地や駐車場、共同住宅のエントランス、空室など、都市の様々なヴォイドに着目し、それらを本来の機能を失わない程度に色をつけ塀や壁などを撤去し繋ぎ結んでいる。それにより一つの建物を超えた都市の新たなまとまりと使いかたを発見し提案している。(須藤剛)
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