現状報告書
2020年5月17日付
日本暗号資産市場株式会社
まとめ
現場指揮官の採用と育成に注力中
エンジニア不足のため、採用中・選定中
オクリマ 公開して好反応
コロナショックの影響で中古品相場が変動中
5月500万円資金調達、6月も追加調達予定
暗号資産古物営業に関するグレーゾーン解消制度の照会手続中
業界動向
日本の古物商のマーケットサイズは年間2兆円規模でそのほとんどが日本円で決済されている。
潜在マーケットサイズは7兆円で差分はゴミとして捨てられていると考えられる。
毎年140万人の高齢者の子供世代が生前整理、遺品整理に悩まされている。
2019年8月、日本の警察庁は古物営業における仮想通貨の取扱いを差支えないものと整理した。
2019年10月、一社)暗号資産古物商協会が設立された。尚、当社の代表取締役は協会の監事を兼任している。
これにより続々と暗号資産古物商が増加し続けているが、暗号資産古物商同士が集まって暗号資産で決済する古物市場は存在しておらず、各古物商は既存の古物市場等で現金で物を売買している。
当社は世界初の暗号資産古物市場主として古物市場主許可を取得し、オンラインかんたん買取サービス「オクリマ」を公開した。
仮想通貨交換業者と暗号資産古物商
仮想通貨交換業者は新規通貨の取扱を増やそうとしているが、仮想通貨交換業者及びJVCEA(自主規制団体)及び金融庁に十分な人材が配置されているとはいえず、取扱通貨の増加ペースは上がっていない。
XLMやQTUM、BAT等の海外上場仮想通貨がコインチェックやビットフライヤーに相次いで上場しているが、国内スタートアップの仮想通貨が上場できるようになるまでにはもう少し時間がかかると考えられる。
金融庁が改正金商法・資金決済法等のガイドラインを発表し、規制が強化されたことにより業界再編が進む見込み。
仮想通貨交換業者で取扱われる仮想通貨の増加ペースが鈍ければ、上場待ちの有望な仮想通貨が増えて、暗号資産古物営業の機会が増加する。
プロが物を取引する際にどのような決済手段を用いるかはプロが独自判断で決めるべきであり、警察庁からプロと認定されている古物商が自らの判断で決済方法を決めるのは理にかなっており、協会を通じて金融庁等とディスカッションした感触としては大きな問題がおこらない限り規制される可能性は低いと考えられる。
一社)暗号資産古物商協会を通じて各仮想通貨交換業者役員とディスカッションした感触として、仮想通貨交換業者の暗号資産古物商に対する期待は非常に高い。
その為、暗号資産関連のイノベーションは暗号資産古物市場周辺で起こる可能性が高く、暗号資産古物商及び暗号資産古物市場の将来性は高い。
例えば事業者が専ら自己の権利利益の保全のために担保として暗号資産の預託を受けることは他人の暗号資産を預かっているとはいえず、暗号資産交換業に該当しないことが金融庁のパブリックコメントの回答において明確化された。
また、暗号資産古物商が暗号資産をUniswap(DEX)に流動性供給して報酬としてETHを入手する行為も暗号資産交換業に該当しないことが金融庁フィンテックサポートデスクにより明確化された。
※但しDEXに運営者がいない前提
このようにDeFiの一利用者として暗号資産古物商のシェアは増加すると考えられる。
また、複数の既存暗号資産発行体から暗号資産古物市場での取扱希望が寄せられている。
古物市場は新規暗号資産のモノとの交換価格をIAMO(イニシャルアンティークマーケットオファリング=新規古物市場オファリング)により決定できる可能性があり、現在グレーゾーン解消制度を使って当局に照会中である。
古物商関係[[
暗号資産古物商のほぼ全員が当社の事を知っていて利用希望であるが、暗号資産古物商は全国に30社(人)程度だと考えられる。(暗号資産古物商協会の反響等から推計)
全国に77万人いるとされる古物商がどの位暗号資産古物市場に流れてくるかが重要である。
古物市場は全国に1500程度あるとされるが、許可を取得してもやっていない市場が多く体感ではもっと少ない。
弊社事務所のある目白駅近辺には多くの古物商が店舗を開設しており、地道に挨拶周りをすることで初期の参加者を増やせそうである。
新しい古物市場は安く落札出来る可能性がある為、落札目的の古物商が集まりやすいが出品が不足すると盛り上がらないので、オクリマ経由で出品の箱数を増やす必要がある。
但し、リアル店舗を有する古物商はコロナショックの影響で総じて苦しんでおり、Withコロナ時代に移行する際に業界構造が大きく変化することは避けられない。
リアルの古物市場が休場しているのに対してオンラインの古物市場は総じて好調である。
一般消費者関係
団塊の世代の高齢化が進んでおり、引越や施設入居、相続等を通して古物商全般のニーズは高まっている。
高齢者は思い出が詰まったものを次の世代に受け継ぎたいという気持ちが特に強く、自分が価値を感じている物が既存の廃棄物運搬業者によりゴミとして扱うことに耐えられない方が多い。
一方で、安く古物商に引き取られる位であれば思い出の詰まった物に囲まれて死にたいという相反するニーズがある。
これを両方クリアするためには古物商が今よりも高い値段で買い取れるようになるしかない。
メルカリに一点ずつ出品して発送するのは面倒であり、高齢者には困難である。
片付けを実際に行う子供世代も共働きが多く忙しいため、フリマサイトを利用している暇がない。
Twitterでも4人に3人がフリマサイトを利用していない。
よって箱で送れば査定して買い取ってくれるネット古物商のニーズは高まっている。
その場合も購入時との差額という観点から買取査定額への不満は強い。
オクリマに箱で送ればそのまま市場で競りにかけて公正な値段で買い取ってくれるので、需要は非常に高い。
当社は一般消費者の主なターゲットは物を持っている団塊世代の子供と想定し、ユーザーヒアリングを繰り返している。
外出自粛により買い物もネット経由に急速に移行している。
今後数ヶ月はコロナショックによる消費の冷え込みが予想される。
当社内部の状況
・人材面
当社は2019年11月に設立したばかりのスタートアップであるが、業界の注目度が高い為、
少し募集をTwitterで告知するだけで優秀な応募者が集まっている。
3月から契約社員1名とインターン1名をそれぞれ正社員、時短正社員とした。(役員・正社員の合計は3名)
2月後半からアルバイト・インターンの採用を強化した結果、大学生を中心に合計10名を採用している。
現在平均年齢が20歳という非常に若い組織であり、アルバイト・インターンの担当も出品発送・フォトグラファー・エンジニア・リサーチャー・後方支援・財務総務とバラエティに富んでいる。尚、エンジニア2名、リサーチャー1名を中心にほぼ全員が完全リモートで働いている。
2月末時点で5名だった会社が現在20名弱になるなど急拡大している。
但し、事務所での運営業務を行っていた一部アルバイトに関しては緊急事態宣言以降は出勤が減少している。
・組織面
このように急拡大しながら人が常に出入りする組織は普通の組織でマネジメントすることは不可能であり、当社は創業当初から危機管理用マネジメントシステムのICS(インシデントコマンドシステム)を採用している。
ICSは911テロ等で使われた全米標準の危機管理用マネジメントシステムである。
当社は常設ICS組織をとる日本初のスタートアップである。
スタートアップは毎日が危機であり、危機を上手くマネジメントすることが成功確度を高めるとの考えに基づいている。
新しいビジネスである為、採用者の教育は非常に重要であり、マニュアルの整備と研修に力を入れている。
教育マニュアルが急ピッチで整備された結果、インターンや社員が増えても迅速にキャッチアップできている。
複数機能を担うことができる人材も増えており、年齢・性別・学歴等に左右されない優秀なメンバーが組織を牽引している。
当社の組織図は以下のとおりである。
リモートワークの場合は各自がリモートの現場指揮官として自律的に働ける体制ができている。
・課題
現場指揮官が不足している
→候補者を2名採用したので、育成する。
コロナショックにより中古品全般の相場が下落したので、実際にいくらで売れるか不透明なモノが増えている
→価格が不透明なものは自社で入札せず、他の古物商に競りで買い取ってもらう。
社内のブランド品鑑定能力が不十分
→マニュアルを整備し、真贋講習を行った。
オクリマと暗号資産古物営業の関係性について十分な説明ができていない
→将来的なビジョンを示しつつ、直近ではオクリマを暗号資産を使わない状態でも単体黒字化させる。
お客様のお問い合わせに対するの返信が遅い。
→土日夜間など営業時間外の対応チームを別途運営する。
市場の移転先候補を探す必要がある
→不動産屋に依頼中、候補物件が出てきた
リモート業務が主流で休日・時間外出勤が多く勤怠管理が難しい
→社労士を雇うか検討中・選定中
エンジニア不足
→採用中・1名未踏ユース採択者に内定
・その他
将来的には24時間365日即応できる組織にしたいが、その為には現場指揮官が1事業所あたり最低4人できれば6人必要となる。
現在2名なので4名まで現場指揮官候補を増員予定。
・マーケティング面
Twitterのフォロー&RTキャンペーンが非常に好調である。現在1万人以上がフォローしている。
Twitterで多通貨オークションを行う予定であり、その準備を進めている。
Instagramも試験的に開始し、ブランド品を景品にキャンペーンを1回行ったが、Twitterのほうが効果が高いままだ。
・開発面
4月10日に第1弾のライブラリをOSSで公開した。
(事業に使用するjavascript モジュールをnpm で1個公開した)
今月から優秀な10代の若手エンジニアがチームに1人参加し、更に開発スピード・品質が上がった。
追加でリモートエンジニア1名に内定を出した。
現在は、オクリマの開発を行っているが、書ける言語やレベルの違いから一人が中心に開発している。
また、ブロックチェーン開発会社から共同開発の提案があり、チーム組成中。
会社公式サイトは外注で製作中。
・資金面
コロナショックの影響で先行きの不透明感が増しているので引き続きシードラウンドの資金調達を進める必要がある。
5月に株主から500万円を融資で調達し、現在もVC等の投資家と交渉中。
オクリマのトラクションが好調なことから、反応は良く、比較的順調に進む見通し。
・ライセンス面
古物商許可と古物市場主許可を取得し、インターネット競売届も受理されたので、必要な許認可は一通り取得できた。
酒類の販売の為、通信販売酒類小売業免許を取得する予定。
・暗号資産関連
BTC、ETH、ALIS、ARUK、DEVを多通貨オークションで取り扱って試験的に市場を開設した。
多通貨オークションで得たARUKの一部を試験的にUniswapに流動性供給を行った。
金融庁への照会の結果、暗号資産交換業にあたらずに流動性供給報酬が得られるられることが検証できた。
その他に日本暗号資産市場で使用できる無償ポイントである市場コインを発行した場合はそれも取扱う予定。
市場コインのホワイトペーパーを年末年始に作成し、草案を公開しているので詳しくはホワイトペーパーにて。
・オクリマの反応
当社が計画しているMarket as a Service はエンドユーザー、古物商双方にとってメルカリと比較して使いやすい仕組みであり、古物商にとっても在庫を抱えずに収益を得られる。
第1弾のオクリマのユーザーヒアリングの結果は良いが、仕組み化と物流を整備する必要がある。
特に知人に強く勧めたい割合、ランディングページでのコンバージョンが想定よりかなり高い。
古物商の営業所責任者には社員No1の原沢が就任し、古物商は既に原沢中心に運営している。
岡部は古物市場の営業所責任者を兼任している。
販売フロー、バックオフィス、仕入ルートは概ね整ったので、コロナショックに素早く対応できるかが鍵となる。
コミュニティの状況
暗号資産古物商協会のDiscordの参加者数は320名。
天才エンジニアの億ラビットくんが作成している暗号資産古物商プラットフォームWARASHIBEは12月5日テストネット公開し、少数の一般人を入れながらテストネットで発行したトークンを使って取引を行いながら超高速で開発が進んでおり、今年中にメインネット公開が予定されている。
日本円ステーブルコインWJPYも注目されており、ETHをステーキングしてUniswapすることで簡単に入手できる見込みである。
テストが完了後2020年夏にメインネットに移り、ALISやARUK等の複数通貨で取引できるようになる予定。
WARASWAPも公開されたがUniswapのv2に対応していない(6月対応予定)
他にも3-4名が自主的に暗号資産古物商関連のコードを書いており、分散開発がうまく機能している。
アドバイザリー
一社)暗号資産古物商協会と弊社は多通貨オークションに関する業務提携を12月7日に発表した。
エンジェルラウンドで投資家やファイナンス、弁護士等の専門家7名にアドバイザーになっていただいた。
1月から暗号資産税務に強い公認会計士・税理士の先生と顧問契約。
2月から暗号資産に強い弁護士と顧問契約。
3月から暗号資産に強い税理士がアドバイザーとして参画。
4月からコンサルタントがアドバイザーとして参画。
その他にもSNS上に各分野の一線級の専門家が集結しており、業界全体の採用プールとしても機能する可能性がある。
非常に心強い。
作成責任者 岡部典孝(現場指揮官兼情報計画部長)
最終更新 2020年5月24日