「呪術」の逆を考える
前提
「呪う(のろう)」の対義語は「祝う」とのこと
「呪う(まじなう)」だと「良いことが起こるように祈る」の意味も含む。
一方、「呪う術」は色々あるわけだけど「祝う術」ってなんだろう?
実際にあるものとして…
舞とか? 楽器の演奏?
祝詞を作って唱える技術?
「呪う術」は専門家しか持たないということになりそうだが「祝う術」は誰でも持ってそう。
「祝う」はそれをした時点で必ず効力を発揮する。やるということ自体が行為の成立の条件というか。
「祝う」にいまいち「術」がはまらない理由
「呪う」は「これから先に悪いことが起こるように念じる」のニュアンスで、つまり未来に意識がある。
「祝う」は「これから良いことが起こるように祈る」に加えて「既に起こっためでたいことを喜ぶ」の意味があり、現代だと後者の意味で使われることのほうが多いから言葉のイメージで言えば過去に意識がある印象。
過去に対して「術」を使うというイメージがない。
「術」はそれによって何かしらの結果を新たに生むものであって、既に出ている結果に対するアクションを「術」とは言いにくい感じ。
「祈る」「願う」なら「術」が結びつきそう。
雨乞いとか。
「祈術」という言葉はなくもない…のか?
ググると出てこなくもない。辞書にはなさそう。
どちらかというと、「どう祈るか」という観点から「陰陽術」「妖術」「魔術」といった表現をされるように思う。
すると「呪い」も含んでしまう。
ネガティブでもポジティブでも「祈る」ことには変わりない。
「敵を呪う」ということは「自分にとって良いことを祈る」のと同じだし。
そう考えていくと、「呪う」の対義語が「祝う」であるということからは、「呪術」の対義語を導くことは難しいのかもしれない。
「祝うパフォーマンスの技術」ということになるとすれば、例えば平安時代なら詩歌と管弦の素養ということになるだろうし、鎌倉時代以降は踊りが加わるみたいな? 「舞」だと「祝う」よりは「祈る」という意味合いが強そう。(ハイパーざっくり認識)(間違っている可能性大)
ある意味「呪術」の対義語は「芸能」ということになるかもしれない。
ていうかそもそも、語義としては「呪術」は「まじなう術」であって「のろう術」ではないのだった。
神や精霊などの超自然的力や神秘的な力に働きかけ、種々の願望をかなえようとする行為、および信念。まじない・魔法・魔術など。
これの対義語となると「科学」?
要素が複数ある。
①神秘的な力に働きかける。
対義語は「科学」っぽい方向の何か。
②未来に働きかける。
対義語は「芸能」…というか「感謝」っぽい方向の何か。
「供養」的なことも反対と言えば反対。
③間接的に働きかける。
対義語は「実践」「実行」っぽい方向の何か。
ぴったりはまる言葉がありそうだけどパッと出てこない。
要するに祈るとかしてないで直接何かをして直接結果を得ること。
イメージをまとめたhttps://gyazo.com/2507754e7805a6f3f62fc666dcef6a20
https://gyazo.com/61b525483411b2b7da502116c11454d6
究極的には、「ありがとうと言う」「おめでとうと言う」が呪術の真逆では?
「呪術」の成分分析が正しいとすれば。(正しくない可能性がある)
「既に起きたことについて」「対象に対して自分が直接」「道理に基づいて行う」且つその行為が最終地点であること(それを通して何かを期待するのではないこと)
対人
ポジティブ路線→直接感謝・祝福を表現する(祈りとしての感謝・祝福は含まない)
ネガティブ路線→刑罰を執行する(抑止力としての刑罰は含まない)
対事物
反省、取材、実験etc
「自分の足で歩いて確かめ、自分の目で見て観察し、自分の頭で考える」(梅棹忠夫)
おおっ、すごい
日本の歴史における「呪」が見えてくるみたいな