奇人の条件
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奇人の条件は、効用とか意義といった「合理」とは無縁の行動をとるということ。損と分かっていることばかりしたり、意味のないことに全財産をつぎ込んだり、なんの得にもならないことで身上を潰したり・・・・というふうに、人生の習いから確実に外れているけれど、人生、確実に一本筋が通っているという御人のことである。 売り言葉には必ずそれを買う、損をすると分かっていても意地を張り通す、義に身を捧げる、だれかに惚れ込む、美しいものにいかれる、ときには放蕩や極道をまっとうする・・・。身を滅ぼすことも厭わずとことん貫く。「アホやなあ」と呆れながらも彼らを変人を超えて奇人であると人が納得するのはその人たちが通す筋のどこか憧れるからだろう。この筋を、行けるところまでとことん辿っていったらどういうことになるかをその人たちが見える形で示してくれるからだろう。 いってみればそれは並の人生に向けられる<外>からの視線である。人生をしっかり棒に振ることで、逆に市井の人たちにお前たちが後世大事に守っている人生など本当に棒に振るに値するほどのものなのか、と問いただしているのである。奇人とは、変人と違ってあっちにまでいってしまった人たちなのである。