不作為犯
「不作為」とは,積極的な動作をしないこと。(危険実現の不阻止)
【不作為犯】「通常は作為によって実現される犯罪を不作為で実現する場合」
(1)作為義務の判断基準
不真正不作為犯とは,通常は作為によって実現される犯罪を不作為で実現すること。
不真正不作為犯の場合、作為義務の内容を解釈で明らかにする必要がある。
→作為義務が肯定される状況にあること=保証人的地位
作為と「同価値」といえる場合に、作為義務が肯定される。
① 処罰範囲の不当拡大の防止
② 不作為は作為と同一の構成要件による処罰である。
(2)作為義務の成立要件
(因果経過の具体的支配)
不作為=既に発生している結果へと向かう因果の流れに介入せず、結果を防止しない。
→同価値であるためには、「因果経過を具体的に支配」していたことが必要
→①結果実現過程の支配に対応する部分
→排他的支配(その者の法益の維持・存続が排他的に依存しているという関係)
②因果の流れの設定に対応する部分(それに変わるもの)
→先行行為(危険創出)or 保護の(意識的)引受け
(戦略)
(1)2元説
法令上の根拠があれば、それを指摘
作為と同価値といえるためには、①排他的支配、②危険創出行為又は意識的引受行為が必要。
(2)他元説
法令上の根拠、排他的支配、危険創出、意識的引受等を総合考慮し、作為と同価値といえる場合に、作為義務を認める。
不作為の因果関係
(1)不作為の条件関係の特殊性
条件関係(PなければQなし)
→期待説(法が期待する作為を想定)
→仮定的代置法(法が期待する作為を行えば、結果を回避できるか。)
(2)結果回避可能性の程度
ほぼ確実に結果が回避出来たことまでの立証は必要である(結果回避の高度の蓋然性)。
→「疑わしきは被告人の利益に」の原則
「十中八九結果の防止が可能であったこと」「合理的な疑いを超える程度に確実であった」
(3)二段階審査
①条件関係
②法的因果関係(結果の現実化)