撤退論
編著 : 内田樹
from: TOPPOINT 2022 年 8 月号
日本が国力低下している現状で、どう撤退していくべきか
奈良県立大学主催で撤退学をめぐるシンポジウムが開催された
日本では、経済成長などの前向きな議論はよく行われているが、国力衰微という現実への対応 (撤退) についての議論はなされていない
撤退を主題に有識者 15 名に寄稿を依頼してまとめたものが本書
斎藤幸平
脱成長は牧歌的なものではない
慢性的緊急事態 (人口激減、気候変動) への対応が必要になってくる
内戦を戦いつつ第一次世界大戦を戦わねばならなかったロシアの例
内外の戦争によって引き起こされる深刻な食糧危機やインフレといった緊急事態への対応 → 戦時共産主義
「戦時共産主義」 を現代に復活させようとしているのがスウェーデンのマルクス主義者アンドレアス・マルム
国は、資本主義や経済成長至上主義からの撤退を決断する必要
市民は、気候危機の重大さを認識し、地球の環境的限界の範囲で生活する覚悟を持つ必要
想田和弘
我々が生きる時間には 2 つの相がある (詩人の山尾三省)
文明の時間 : 進歩する
自然の時間 : 循環し回帰する
人類が生存を引き延ばすためには、経済成長を求める文明の時間から撤退し、自然の時間を主体とした定常経済を目指すこと
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