ボールドウィン効果
ボールドウィン効果は,ラマルク的な獲得形質が遺伝する仕組みがなくても,最初は学習によって獲得されていた形質が,次第に遺伝的に獲得される過程であり,一般には,次のような二つの段階からなるとされている. 第 1 段階
学習によって生存上のメリットの高い形質を獲得した個体が次世代に多くの子孫を残して広まる.
第 2 段階
十分に多くの個体が生存上有利な形質を学習によって獲得した集団では,学習にかかるコストが選択圧として大きく働く.その結果,生存上有利な形質を生得的に獲得している個体が次世代に多くの子孫を残す (遺伝的同化,遺伝的順応の一種). Hinton と Nowlan の遺伝的アルゴリズムによる先駆的な計算機実験によってボールドウィン効果の発生が明確化されて以来,様々な観点から進化モデルを用いた議論がなされてきたが、特に環境の改変であるニッチ構築の影響と関係の深いものとして,動的な環境を想定した研究がある.