スーパーエンジニアへの道
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読書開始 : 2020-10-07
感想
1 部
有能なリーダーであるためには、たくさんのモデルを持ち、状況に合わせて使い分ける
直線的モデルと有機的モデル
有機的モデルは、成長というものは自然なプロセスで我々の可能性を実現させるという信念に基づく : タネのモデルと呼ぶ
他の人々を通じて想像し、生産すること
タネのモデルでは : リーダーシップとは人々が力を付与されるような環境を作り出すプロセス
人のリードかプロセスのリードか
他人をリードするには、その人が自分自身を支配することをあきらめる必要がある (アメとムチのモデル)
プロセスをリードするのは、人に反応して行動し、彼らに選択を委ね、彼らに自分自身を支配させること (タネのモデル)
2章リーダーシップ様式に関するモデル
リーダーシップの moi モデル : 変化が起こるためには環境に以下のものが含まれていなければならない
m : 動機づけ モチベーション
o : 組織化 organization
i : アイデア
問題解決型のリーダーシップ様式を特徴づける構成要素
問題の理解
アイデアの流れを調整する
品質を保持する
問題解決型のリーダーに共通に備わっているものは、もっと良いやり方は必ずある、という信仰
3 章 技術リーダーの問題解決様式
問題の理解
全員が問題を理解しているような環境を作るには
仕様を明確に理解する : 事の成否が問題定義のごく小さい違い次第で決まることは多い
例 : 可用性 99.9 % といったときに、その定義次第で解決策は大きく異なりうる
また、最初から完全に理解できることはないので、要求についてよりわかってきた時点で仕様書を見直す
論争が解決策の違いによるものか問題理解の違いによるものか見極める
アイデアの流れを調整する
アイデアが少なすぎると解決策を得られないし多過ぎても混乱する
流れの調整
うまいアイディアをチームに提供する
有用なアイデアをコピーすることを奨励
同僚が出したアイデアを練り直す
出てきた時から完璧ということはない
自分のアイデアをすべて引っ込めるのと、どれも引っ込めないということのバランスをとる
チームワークを大切にという意識から、たとえ誤っていても多数の意見に従ってしまうこともある。 そういう状況では引っ込めずに全員に理解させるよう頑張るべき
時間不足の圧力に負けずに、アイデアの説明、理解に費やす。 時間不足だとたいていのアイデアは理解される前に捨てられる
アイデアが有用か確認する。 とっさに批判することは避ける。 批判するときは人ではなくアイデアを批判
時間と労働力が不足してきたらアイデアを出すのはやめてがりがりやりだす
以前うまく行った古いアイデアに固執しない
捨てたアイデアもふさわしい場所では復活させる
品質の管理
環境を制御して品質を確保するための行動
品質をプロジェクト進行にあわせて計測
進行速度を測定し、計画と比較し、必要に応じて解決方針を変更する
プロジェクトから一歩引いた新しい視点での生き残りの可能性評価
だめとわかったプロジェクトは早く取りやめたほうが良い
アイデア実行の前に顧客確認
失敗しても、そのアイデアを捨てて前にすすめる
4章 リーダーはどう育つか
ブレークスルーで大きな成長をする
アイデアを試すために、すでにうまく行くとわかっているやり方から外れる必要もある
飛び移るのではなく登る
これまでの足場を失い、ブレークスルーの前に谷間ができる
高原に登ることによって学び方を学ぶというメタ高原での進歩
すべての谷間が高原につながるわけではない
5 章 でも私は……
任命された 『リーダー』 以外にも潜在的リーダーはたくさんいる
有機的モデルでは、生きたグループはシステムであり、ばらばらにして各部分に肩書を与えることで理解することはできない
システムが非効率なのは部分のせいではなく相互作用の問題であることが多いが、組織については 「任命されたリーダーこそが重要」 と考えるマネジャーが多い
失敗した記憶より成功した記憶のほうが残りやすく、任命されたリーダーによる成功の記憶が残りやすいことから
最も弱いつなぎ目を最も重要と見誤る、という理由もある
カリスマ的なリーダーシップじゃなくても、技術革新的なリーダーシップもあるので、リーダー向きじゃないという言い訳はない
お偉方には技術革新の能力は見えないので、ひげを生やすとかしていたらしい
2 部
nobuoka.icon この技術革新って、イノベーションということなんかな 自分を客観視できないこと
相互観察などで対応
ただし、勝手に他人を観察しないこと。 (それは受け入れられ難い)
問題ない症候群 No-Problem syndrome (NPS)
他の人に問題を解いてもらいたいときに相手が 「問題ない」 といったら?
自分が抱えている問題を説明して相手が問題ないといったら、「あなたが解いてくれる私の問題はどんなものか言ってください」 という
間違っていても問題を説明してもらえれば良い。 解決策を説明してきたら、それは NPS
答えは一つ、の信念
心理学者 (なのか?) が出す質問は答えがひとつである前提だが、多くの場合は他の答えもある
社会的にも、心理学者の問題に適合する人に報酬が払われるようになっており、答えはひとつという考えに支配されやすい
この中心的ドグマに感染したマネジャーは、部下に対して、ただ一つの正しいやり方 (マネジャーが思うやり方) で仕事をすることを期待してしまい、部下もまた次の世代をそう育てる
7 章
日誌をつけて自分を見つめることで解決すべき課題がわかる、かもしれない
8 章
真に独創的なアイデアは誤りからしかこない
アイデアを生み出す三大戦略 : 誤りと盗みと結合
三大障害との関係 : 自分に対する気付きが欠けていると、自分の誤りに気づかず、それを捉えて素晴らしいアイデアを生み出せない
9 章
リーダーになるということは、焦点を自分のアイデアから他人のアイデアに移すということ
日誌は自身の短期的見通しを得る助けになる。 が、自身を長期的に眺めるのは難しい
経歴曲線で長期的に眺める
大切なのは出来事ではなく、出来事に対する反応
リーダーになる人間は、逆境を克服する人ではなく、それをプラスに利用する人
どうやって? → 特別のビジョンを持っている
普通の部分 (人生における月並みな部分) と特殊な部分 (ビジョンを個人的なビジョンに変え、それを素晴らしいアイデアへのリーダー固有のこだわりに結びつけるビジョン)
むずい
コンピュータが盲人にとって役に立つ、というような個人的な考えとか、っぼい
個人的ビジョンは、大事なものとつまらないものを見分けるための基準点になる
自分がすることは世界に違いをもたらす可能性がある、という思い
3 部
10 章 人に動機づけを与えることについての、第一の大障害
人と人のやり取りでは、人の内部で起こる部分と、第三者からも見える顕在部分がある
顕在部分は挙動とフィードバック
自分の中の潜在部分は、知り方を覚えれば知れる
相手の潜在部分を知ることはできないが、ときにひとは顕在部分と潜在部分の区別を忘れる
自分の中で起こることのモデル
知覚入力 → 解釈 → 感情 → 感情についての感情 → 防御 → 発言に関する規則 → 結果
我々は、自分のメッセージは完全に明確だと思いこむが、どんなメッセージもその一部は受け取られるまでに失われる
また、人によって経験が違うため、解釈も違ってくる
解釈段階の存在に気づくことで、
複数の解釈が存在することを知り
相手がたくさんの解釈を思い浮かべても、そこに送りての解釈が含まれていない可能性があることを知る
防御の話は、不安に対応するための免疫マップの話とかに近そう 不整合なコミュニケーションは動機づけにとって致命的
動機づけは、互いに応答し合う仕方について、情報が自由かつ正確に流れることを前提にしている
相手が理解しづらい言動をするのは、相手が私の言動を理解しようとしているからかもしれない
私が、自分自身のことをわかりやすく相手に伝えれば、相手の言動も理解しやすくなるかもしれない
どうする? : 自分が何を知覚しているか、知覚したものに対してどう感じているか、そして可能ならその感じについて自分がどう感じているかを相手に伝える
11 章
人と仕事の間には矛盾がある (仕事か人かという二律背反) と考えることが障害
物書きはリーダー。 読者を文章の主題に案内する。 文体はリーダーシップ様式の一つ
霞指数
教訓
生き残りがかかっているときは人優先にならざるをえない
仕事が高度に技術的でないなら恐怖によるリードも可能
強い技術的素養を持つ人は、やりたくない仕事を技術的な仕事に変換することによって逃れうる
人に気を配らないリーダーには、相手に選択肢がない場合以外にはリードすべき相手はいない
いくら気を配っても、差し出すものがなくて差し出すふりをしているだけなら、人をつなぎとめることはできない
仕事中心主義のリーダーは自分の手柄を過大評価する
我々の仕事の中には、働く人の将来の可能性を犠牲にしてよいほど重要なものはほとんどない
複雑な仕事では、計画がけして崩れないと確信できるリーダーはいない
問題解決型リーダーとして成功するには、人々が人間であることをつねに全面に出す必要
あなたがリーダーなら、人々こそがあなたの仕事の対象
複雑な技術的作業では、仕事か人かという二者択一は通用しない
状況を救うのは適応力以外にない
12
人を助けたいと思っても、助けるのはかんたんではない
若干の混乱したコミュニケーションを経て、感情的な名指しの避難に落ち込み、物事を悪化させて終わる
相手が助力を求めていないなら、我々は決して助けることには成功しない
相手が助力を求めているのか、常に確認しよう
また、助力を求めていたとしても、生涯にわたる意志ではない
相手が侮辱と取るような助力の申し出をしてしまいがち
助力の試みは、しばしば邪魔をしようという試みだと解釈される
逆に言うと、誰かが自分を邪魔しようとしていると感じたとしても、実際には相手は自分を助けようとしているかもしれない
哀れみや利己的な理由で助けられたい人はいない → 気遣いにより助けたいということを納得させる必要
どうする? → 本当に気遣うこと
同じ目標を達成するため、とかではだめなんかな?? それも気遣いの中に入るのかな
13 章 動機づけのできる人になるには
カーネギーの 『人を動かす』 は史上最も人気の高い自助の本 人と人のやり取りに関する個々人の中の規則
これらは人とのうまいやり取りが生存に直結するころに身に付いたものなので、強い情緒を伴う
規則が重要なのは、アイデアの流れに強い影響を持っているから
規則についてのアイデアの流れを制御するメタ規則は二重に重要
「お前に一般的真理を教えようとするやつに注意」 など
規則が、有能なリーダーになることを妨げている可能性 → 規則をガイドに変換する
規則を明確かつ具体的に述べる
その規則のサバイバル上の価値を認め、自分の無意識と取引する
「この規則は私が生き残るのに有用だった。 だからこれを追い払うことはせずに手元に置いておき、適切な状況で使おう」 と自身に言い聞かせ、この考えを無意識の一部にする
規則を追い払おうとすると、生存のための抵抗がある
自分に選択の余地を与える
無意識に、古い規則をいつでも適用できると思わせることで、「しなければならない」 から 「してもよい」 へ
確実性から可能性への変換をする
「自分はいつでもみんなを助けなければならない」 から 「自分は常に全能でなければならない」 という規則を持っている可能性があるが、その場合、上の 「してもよい」 への変換で 「自分はその気になればみんなを助けることができる」 に
上の全体性を非全体性へ
「みんなを助けることができる」 を 「他の人を助けることができる」 へ
他人に対して誠実な関心を寄せる
そのためには自尊心が必要。 自分に価値がないと思っていたら他人にも関心をよせない
利己的であれ
自己実現のために時間を使う
14 章 力はどこからくるか
力は所有できるものではなく、関係である
クラークの第三法則、いかなる技術も十分進んでいれば魔法と区別がつかない
マネジャーとプログラマでも同じ。 マネジャーからしてみればプログラマの仕事は魔法みたい
マネジャーも組織の力を持っている
専門技能も力になり得るが、それはやはり関係による
登山チームの中ではプログラミングの技能は力にならない
15 章 力、不完全性、整合性
自尊心の問題と機械的な問題
人が、自分にとって愉快でないことを伝えられて怒るのは自尊心が低いから
例えば臭いのひどい同僚がいて、一緒に働きたくないと言っている人がいる、とか
こういう問題は扱いづらい
その種の問題は、出来事に対する反応ゆえにおこる
反応によって、出来事を問題に変えることもあれば解決策になることもある → 問題の一部になるか解決法の一部になるかはわれわれが選択するもの
問題を起こすのは反機能的パターン
解決をもたらす行動パターンは機能的パターン
バージニアサティアによる世界を比較的有能かつ正確に扱っていくことを助ける行動リスト
他人を扱う際に明確
自分の思考と感情にもとづく
うんぬん
4 部 組織化
技術リーダーは組織化を余計なものとみなしたりするので、組織上の問題が発生すると惨めなつまずき方をする
16 章 組織上の力を手に入れる
大きな組織ではリーダーが手に入れられる資源が色々ある
平等には配られないので、他の技術革新者のために資源を入手できるよう組織上の力を手に入れる必要がある
力の変換の話
まずは人格的な力。 この力はほとんど何にでも変換できる
17 章
チーム組織法
個人別
投票
強力なリーダー
コンセンサス
適切な資質をもったリーダーを選ぶにも一貫性のある方式が必要
リーダーを選ぶ最も劣る方法は (相続を除けば) 一人の強力なリーダーが別のリーダーを選ぶこと
18 章
障害
組織者になるにはマネジャーにならなければならない、と思っていてマネジャーでないなら障害にぶつかっている
偉いさんゲーム : ほかの連中にあれをやれ、これをやれという権利を持つのは誰か
人を機械と同じようにみなす
うまくいかなかったときのイライラに対して、機械に対すると同じように反応しがち
うまくいくこともあるが、やりすぎると、組織を基礎づけるための標準と手順の山がどんどん膨れる
自分でやってしまう
リーダーの仕事は眼の前の問題を解くことではなく、将来に渡って問題が解かれ続ける環境を作り出すこと
有効でない組織づくりに報償を与える
事故がはじめから起こっていなければ決断する必要もない
バグ除去や下手な管理ゆえに生じた危機を解消するための変革に報償を与えるのではなく、誤りが生じないような設計などに報償を与えるべき
組織づくりの主題は問題を回避することで、問題に取り掛かってしまっていては有効な組織づくりには遅すぎる
あるときは組織し、あるときは組織されるような有機的な組織づくり
命令することやされることは目的のための手段でしかない
組織づくりは厳格な規則を作ることではなく、命令したりされたりすることでもなく、仕事を片付けること
リーダーの基本姿勢は、全員が問題をとき、決定を下し、それらの決定を実施に移すことができるような環境を作り出すことに向けられる
19 章
システムがよりよく対処し繁栄するように仕向けるには
練習する
どんな活動でもいいから、様々な組織形態の中でさまざまな役割を担って経験する
観察と実験
科学的方法。 組織を受動的に経験するだけで満足してはならない
まずは観察。 会議で誰が何回しゃべるかとか、誰が質問して誰が答えるか、など、記録する → 観察は癖になる。 技能が身につく
観察の技能が身についたら、実験する。 みんなが普段とは違う行動をするように変化を起こす。 例えば会議室の椅子の数を変えてみるとか
観察の際に注目すると良い箇所は不整合。 実情と外見の違い
誰もが貢献したいはずなのにそう見えないことがあるのは、自分が状況を理解していないからではないか
何が悪いか? 次の問題解決型リーダーシップの主要機能 3 つのどれかがおかしい可能性
問題を定義する
アイデアの流れを助長する
品質を管理する
グループには適した問題がある。 グループに適さない問題の前では機能障害を起こしうる
目的は共通なのに仕組みがおかしいことでうまくいかないことがある
人には次の 4 つの領域で違った好みを持つ マイヤーズブリッグズの性格理論
社会的
情報的
意思決定
行動
脳もさまざまなモジュールから成る器官なので、自身の脳の内部で起こっているプロセスに自覚的になることで、それを組織のモデルとして使える
権限が増すと、些細な言動が大きな影響を与えるようになり、観察も実験もしにくくなる → 20 章で論じる
5 部
20 章
リーダー候補として乗り出そうとしたときの大変さ
学生というより教授の役割。 個人の問題に対してではなく、複数人に対して責任を負う (プレイヤーとコーチの違い)
社会での評価は、領域ごとの足し合わせではなく掛け合わせ
4 つの領域でそれぞれ 80 % の評価だとしたら掛け合わせて 0.8 の 4 乗で 40 % 程度
ほんとに? → リーダーシップを取る人にとっての非公式的評価はそう
技術的に 100 点でも、感情面で 50 点だとかけあわせて 50 点
足し合わせなら得意なことを伸ばしても苦手なことを伸ばしても同じだが、掛け合わせなので苦手なことを伸ばすほうが効果が大きい
教え方は学べること。 リーダーシップについても
それらは生得的なものだと思っている人が多い
評価についての不安は教授も持っているが学生も同様
21 章
トップに立つ人はルールを作る、すなわち古いルールを破る
臆病な追従者はトップに立てない。 だが、盲目的な反抗者も同様
リーダーが物事に対処するやり方
パーソナリティ方式 動機づけに重きを置く
プランニング方式 組織化に基礎を置く
22 章
変化は刺激的であるか不快でもある
変化になれる