採用基準
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感想 nobuoka.icon
『採用基準』 というタイトルではあるが、採用に関することよりは、マッキンゼーで求められる人物像、ひいては、あらゆる組織に必須のリーダーシップについて多く書かれている
自分にとって衝撃が大きかった部分
採用に関して :
思考力 (思考スキル + 思考意欲 + 思考体力) のうち、思考スキルは後から学べるので、選考時には思考意欲や体力を重視
リーダーシップ等に関しては……
リーダーシップは成果とセットで考える
リーダーシップは全員が持つべき (リーダーシップがない人がチームにいるのは非生産的)
nobuoka.icon マネジャーになって 「マネジャーはリーダーでもある」 ということを言われることも多かったのだけど、本書では 「マネジャーだけではなく、全員がリーダーシップを持つべし」 と言っていて、確かに本書で言われるリーダーシップは全員が持つべきものだなーと思った
「チームの成果はどのようなものか」 + 「あなた個人はその成果にどのように貢献したのか」 で評価
nobuoka.icon 『よく 「個人の成果ではなくチームの成果で評価すべし」 という話を聞きはするが、とはいえ個人評価とどう連動させるのか……』 ということを思っていたのだけど、個人の評価としては貢献度で考えると良いのだなー、ということに気づいた
メモ
はじめに
本書で目指したこと
下記を究明
グローバルビジネスの前線で求められるのはどういう資質の人か
日本ではなぜそれらの資質が正しく理解されていないのか、という点についての原因
さらに、それらの資質やスキルを身に付けることで世の中がどう変わるか、個々人の働き方やキャリア形成、人生がどう変わるか、という点も明らかにする
序章 : マッキンゼーの採用マネジャーとして
コミュニケーション関連の授業 (説得力のある話し方やプレゼン技法、交渉技術やその背景にある心理学) や、実践型の人的スキル関連のクラス (リーダーシップ、チームマネジメント) を大学院教育で学ばせるというコンセプト自体が目新しい 留学生を受け入れる理由 : アメリカ人ビジネスパーソンが世界で働くときに困らないように、学生時代に世界中の人たちと協業する機会を与えて学ばせる
nobuoka.icon なるほどなあ
筆者が 2 年間の MBA 留学で学んだのは、人材育成システムについて
コンサルタントは、(他者や世間の一般的な考え方ではない) 自分のオリジナルな考えを突き詰めることを叩き込まれている 筆者は、当初はコンサルタントとして働いていたが、自ら人材関連マネジャーのポジションを提案し、採用マネジャーになった
1 章 : 誤解される採用基準
誤解 1 : ケース面接について
ケース面接では、面接担当者は 「どれほど考えることが好きか」 「どんな考えをする人なのか」 を見たい 候補者の中には 「ケース面接の解き方を一生懸命覚えてくる」 という人もいるが、解法を知識として頭の中から取り出す、というようなプロセスに入った様子を見て 「この人は考えるよりも知識に頼る人だ」 と思ってしまう
ケース問題は応募者の思考法を具体的に知るための会話の材料であって、正しい答えなどはない nobuoka.icon これって大学等の入学試験とかにも言えるよなー、と思う
やたら過去問だったり問題集を解きまくる受験勉強をする人がいるけど、それよりも考え方を身に付ける方が大事だと思う (とはいえセンター試験は時間との闘いみたいなところもあるから難しい) そしてうちの会社の新卒採用の試験もこういう考え方でやっているなー、と思った
誤解 2 : 地頭信仰
コンサルティングは企業経営者向けのサービス業で、企業経営者からの相談を受けて解決を支援する
具体的には ① 相談を受ける、② 問題の解決方法を見つける、③ 問題を解決する、というプロセス
地頭が関係するのは ② だが、① や ③ も同等以上に重要
相談を受けるための信頼関係の構築には地頭はあまり意味がない
自分がいかに優秀かをアピールしてくる人を信頼するか……?
問題の解が見つけられることと実際に問題を解決することは全く次元が違う
「考える力」 あるいは 「思考力」 について
思考力 : 思考スキル + 思考意欲 + 思考体力
思考スキルは後から学べる (入社後に身に付けてもらえれば良い)
思考意欲と思考体力は、高い思考力をもつために不可欠な適正であり、面接時に確認が必須
思考意欲 : 考えることが好き。 「そんなことを考えて何の役に立つのか」 というようなことを延々と考えている
思考体力 : 「考える」 ということは、高いレベルの気力と体力を要する
誤解 3 : 分析が得意な人を求めている
分析は、あくまでも問題解決プロセスの前半部分
どうすればよいか、という処方箋を書く部分も重要
現状分析とは正反対の、「今は存在しない世界」 をゼロからイメージしていく思考が求められる
最もインテリジェントだと思われるのは、この構築型の能力がある人
独自性があり、実現した時の影響がきわめて大きな仮説を立てる能力 (仮説構築力)
ゼロから、新しい提案の全体像を描く構想力や設計力
誤解 4 : 優等生を求めているという誤解
バランスのよい優等生ではなく、突出した点を持っている人が評価される : スパイク型人材 難局においてリーダーシップを発揮する際にスパイク (強み) があると有利 (スパイクで勝負して難局を乗り切る)
誤解 5 : 優秀な日本人を求めているという誤解
日本人である必要はない
マッキンゼー日本支社の採用基準 (① リーダーシップ、② 地頭、③ 英語ができる、④ 日本語ができる) を満たす日本人は少ないが、中国などからの留学生にはちらほらいる
東京の学生はリアルな社会を体験する機会が様々あるが、京都の学生にはその機会が少ないからという仮説
2 章 : 採用したいのは将来のリーダー
マッキンゼーが求めている人 : 将来、グローバルリーダーとして活躍できる人
リーダーシップがある人
自説が採用されることよりも成果を重視
チームの使命を果たすために、必要なことをやる
自分で決定し、その結果に伴うリスクを引き受け、その決断の理由をきちんと説明すること
求められているのは、上司の指示を聞き入れることではない
マッキンゼーでは、全員がリーダーシップを発揮して問題解決を進める、という前提で、他者に対して遠慮なく意見をいう
nobuoka.icon その前提であれば、「上司だから影響力を考えて発言を抑える」 みたいなのはしなくてよい、という部分に、なるほどな〜〜、となった
正式なリーダー職は 1 人でも、組織の構成員全員がリーダー体験を持っていることがハイパフォーマンスチームを作るために必要
『組織を動かして成果を出すことがどれだけ大変なことか、実体験として理解していない人がチームにいるのは、極めて非生産的』
nobuoka.icon 強い言葉だけど、そうだよなー、と思った
一般的な採用基準として理解すべきこと : スクリーニングの基準と採用の基準は異なる
3 章 : さまざまな概念と混同されるリーダーシップ
日本におけるリーダーシップの理解
ネガティブにとらえられていることすらある (自分の意見ばかり主張する強引な人、他人に指示して自分は動かない人)
なぜか? → 日本の社会、さらにいうとビジネスの現場でさえ、成果が最優先されない場合が多いからでは?
リーダーシップは成果主義とセットで考える必要
成果主義を原則とする環境でなければ、リーダーシップは必要ない
nobuoka.icon そうなのか?? 明確な目標がない人の集まりの中でも、向かう先を決めていくにあたってリーダーシップは必要な気はするが
楽しければよい、という状況に求められるのはせいぜいまとめ役や調整役、とのこと
日本では、成果より組織の和が優先されることがある
他部署の決定に口を出さない、など
本来のリーダーシップの考え方だと、企業の利益最大化という成果達成のために、必要なことをやるべき、という考え方で必要があれば口を出す
一方で、リーダーシップなく他部署に口を出すのは単なる干渉で、感情的な対立を生み出すだけで、成果にはつながらない
厳しい成果目標がないならば、和を尊ぶのは自然なこと
日本人も、リーダーを選ぶときには 「成果を出してくれる人」 (それが期待できる人) を選ぶはず
役職とリーダーシップは直接的には関係がない
日本では、役職者にリーダーシップが求められる
外資系企業では、リーダーシップはメンバーにも求められ、役職者に求められるリーダーシップを発揮した実績がないと役職にはつけない
役職という権威の裏付けがないとリーダーシップを発揮できないような人に役職が与えられることはない
マネジャーは管理職であり、部下の労務管理、組織内の業務の進行管理や品質管理、予算管理が求められる 管理のために必要な役割 (マネジャー) と、成果達成のために必要な役割 (リーダー) は別
日本の多くの企業では、管理職には管理だけでなくリーダーシップが求められ、逆に管理職以外にはリーダーシップが求められないから混乱が起きる
管理職に求められるものの中でリーダーシップは軽視されがちだが、管理職には成果が求められる → 不幸
日本では、調整役もリーダーと混同されがち
調整役 : 複数部署や複数の人の意見を調整して、意志決定していく
こういう人は重宝されるし、こういう人が管理職だと話がうまく進むことも多い
だが、成果よりも関係者の気持ちや組織の和を優先しているのでリーダーではない
日本では、雑用係やお世話係をリーダーと呼んでいるような感じもする
リーダーは組織に 1 人、という考え方だから、組織運営に必要なことを全部リーダーに任せてしまうのではないか
リーダーに他の人がついていけるかどうかは、他の人がどれだけ成果にコミットしているかによって変わってくる
成果にコミットしない人は、リーダーに対する建設的でない批判を行いがち
4 章 : リーダーがなすべき四つのタスク
その 1 : 目標を掲げる
チームが目指すべき成果目標を定義
変化に対応できる人ではなく、変化を起こしていく人が求められる
その 2 : 先頭を走る
その 3 : 決める
十分な情報が揃っていなくても、十分な検討を行う時間がなくても、決めるべき時には決める
未来のことについて、情報が十分に揃うことは決してないが、それでも決めなければならない
なぜ決めることが重要か?
決断することで問題を浮かび上がらせる
全員がリーダーシップを持っている組織では、リーダーに対して変更を要請するのではなく、「自分であればこう決断する」 という風に意見を述べる
その 4 : 伝える
多様な価値観のチームを率いるために、また、成果を出すのが困難な状況においては、言葉によって人を動かすことが必須
問題が発生した場合にも、その問題の原因や対処法の選択肢、そして対処法を選択した理由を説明する必要 : アカウンタビリティ (説明責任) 5 章 : マッキンゼー流リーダーシップの学び方
リーダーシップとは、スキルであると同時にメンタルセットでもある
実体験としてリーダーシップにより問題解決ができることを体験し、「リーダーシップを身に付けたい」 と思うようになる、というメンタルセットの変化を引き起こすのがリーダーシップ教育のスタートライン
基本動作 1 : バリューを出す
バリューを出すことを意識することで、漫然と作業することがなくなり、価値の高い仕事を優先する意識を持つようになる
基本動作 2 : ポジションをとる
あなたの意見は何か、あなたが決断するとしたらどう決断するのか
会議などで分析などの結果から話そうとすると 「で?」 「So what?」 と問われる
「まずは自分の意見を言え、分析の結果や理由はそのあと述べよ」
問われるのはプロセスではなく成果につながる結論のある結論 (メッセージ) である
結論は何か、ということにフォーカスした議論の方法も、仕事の生産性を向上させる
早めにポジションをとることで、外部から反対意見を集めて改善点を得られる
いったん決めてから問題点を洗い出し、対策を考えていくという手法
基本動作 3 : 自分の仕事のリーダーは自分
自分の仕事に関してはリーダーは自分であり、関係者を使って成果を最大化するのが自分の役割
各メンバーに求められることは、価値の高い議題を会議に持ってくること
基本動作 4 : ホワイトボードの前に立つ
ホワイトボードの前に立って議論のリーダーシップをとる → ディスカッション・リーダーとしての経験を積んでいく
できるようになる前にやる
「リーダーシップは今すぐ発揮してください、できない部分は次回から改善していきましょう」
リーダーシップについて、マッキンゼーでは頻繁にフィードバックがある
6 章 : リーダー不足に関する認識不足
日本人がリーダー資質に乏しいということはないが、リーダー教育が行われていないためにリーダー不足が起こっている
日本における様々な問題が放置されている原因でもある
日本はリーダーシップを重視していないのか?
会社での評価についても、リーダーシップは問われにくい
日本 : 管理職だけがグループの成果を問われ、管理職以外は個人の成果を問われる
マッキンゼー : 「チームの成果はどのようなものか」 + 「あなた個人はその成果にどのように貢献したのか」 で評価
現状を変えるのに必要なのは、組織のあらゆる場所で目の前の現状を変革していく地道なリーダーシップ
変革を成功させるリーダーは、要となるポジションに外部からリーダーを呼び込んだり、若手からリーダーシップポテンシャルのある人を引き上げて権限を与える
そうやって組織内に一定のリーダーシップを確保して、はじめて組織は変化をはじめる
「自助、共助、公助」 : 自助と公助とは異なり、共助が機能するためにはリーダーシップが不可欠 7 章 : すべての人に求められるリーダーシップ
リーダーシップについて理解すべきこと
全ての人が日常的に使えるスキルである
訓練を積めば、誰でも使えるようになるスキルである
問題に気づいたときに、どういう反応をするか
その問題を解決するのは誰の役割か?
どうやったらその問題を解決できるか? ← これがリーダーシップのある人の考え方
終章 : リーダーシップで人生のコントロールを握る
リーダーシップを身に付けることで最も変化するのは、その人のキャリアや生き方
マッキンゼーでは、在籍中から 「自分のキャリアは自分で作る」 という態度が求められる
ゼロベースで考えろ、固定観念に取りつかれるな、成功体験にこだわるな、という仕事中に何度も言われる言葉が、自身のキャリア選択にも影響を与え、選択肢の幅を広げてくれる
「有名国公立大学から大企業に進むことが成功の道」 みたいな固定観念を持っている人が、マッキンゼーを経由することでより幅広い挑戦をしていくようになる → 価値観転換機関としてのマッキンゼー