飢えた群衆
ハンバーガー屋を作る上で、どういう条件があれば良いと思うか?と聴衆に問いかけ「良い肉」「良い立地」などの提供側の都合を答えさせた上で「違う、飢えた群衆がいればそのどれよりも成功する」と切り返すストーリー。
製品機能ではなく顧客の存在が重要と言いたいわけだ。 DR.icon
「飢えた群衆(hungry crowd)」とは、マーケティングやビジネスで語られる有名な逸話であり、「腹を空かせた群衆(starving crowd)」とも表現されます。このストーリーは、「どんなに優れた商品や戦略があっても、切実にそれを求める飢えた顧客(市場)がいなければ成功しない」ことを端的に示すものです。特にハンバーガー店の例え話を通じて語られ、「ビジネスで最も重要なのは“飢えた群衆”である」と教える内容です。 提唱者と起源 – ゲイリー・ハルバートのハンバーガー店の逸話
「飢えた群衆」のストーリーは、米国の伝説的コピーライター、ゲイリー・ハルバート(Gary Halbert)によって1970年代に提唱されました。ハルバートは自身のセミナーやクラスで、受講者に次のような質問を投げかけました。 「もしあなたと私がそれぞれハンバーガーショップを開いて、どちらがより多く売れるか競争するとしたら、勝つために欲しい“たった一つの条件”は何か?」
受講者からは「最高品質の肉」「特製のバンズ(パン)」「一等地の立地」「最安の価格」など様々な答えが出ます。
しかしハルバートは「OK、今言った有利な条件を全部あなたたちに与えよう。それでも私はたった一つの条件が手に入れば、皆を打ち負かしてみせる」と言いました。聴衆が「そのたった一つとは何か?」と問うと、ハルバートは次のように答えます。
「…それは、腹を空かせた群衆だよ!」
つまり、自分の店の前に「お腹を空かせた人の群れ (starving crowd)」さえいれば、他のどんな条件がなくとも商売は圧倒的に有利になる、という教訓です。実際ハルバートはこの答えを「唯一欲しいアドバンテージは飢えた群衆だ」と述べ、「他の全てのアドバンテージは、飢えた群衆(顧客)がいなければ大した意味を持たない」ことを強調しています。この逸話はハルバートのニュースレター「The Gary Halbert Letter」や彼の書簡(ボロン・レターズ)にも記されており、マーケティング業界に広く知られるようになりました。
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読むとわかるが「腹を空かせた群衆だよ!」は結論ではなくその後の大部分の話の導入に過ぎない
「腹を空かせた群衆」のリストをどのようにして作るか、と言う話が続く
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後半で解説されているテクニックの要点をまとめます。
リスト品質の段階的な絞り込み
名簿リストの購入について
買いては最初は無作為抽出でテストし、その後大規模に買いたい
売り手は最初に出すリストを無作為抽出ではなく「良いもの」にするインセンティブがある(成功すれば大規模に買ってもらえるから)
評価基準:新規性・頻度・単価
・新規性(Recency):直近で同種商品を購入した顧客は反応が高い
・頻度(Frequency):複数回購入している顧客ほど購買意欲が高い
・単価(Unit-of-Sale):高額商品購入の経験がある顧客は、本当に価値のある顧客とみなせる
→ 特に「新規性」が最も重要視される
テストの具体的手順(2ステップ)
ステップ1:まず無作為抽出で5,000件にDMを実施。
ステップ2:
→ 初回テスト後、特定の州などで絞り込んだ50,000件を使い、よりリスト全体に近い実際の反応率を検証します。
→ これにより、最初のテストでのみ出る過剰に良い結果(最高の名前だけが抽出される状況)を回避し、ロールアウト時の成果が安定するかを確認する目的があります。
以上の手法により、DMマーケティングでリストテストとその後のロールアウトをより一貫した成果に結び付け、予期せぬ結果の低下リスクを抑える狙いがあります。