酔歩する男(ネタバレ注意)
『酔歩する男』とは小林泰三氏の短編小説。短編集『玩具修理者』に収録されている。 (以下ネタバレ)
時間認識は脳機能の一つであり、実際には時間は一次元的に流れていない、脳が一次元であるかのように見せているだけ、と言う設定のSF 三半規管が重力方向を感じているのと同様に、時間感覚器官が時間方向を感じている
それを壊すと時間感覚がなくなる
意識がある間は視覚などを総動員して時間の接続を決定している、意識がないときには時間感覚器官が決定している
そのため時間感覚器官を破壊すると、起きている間は時間が直線的に流れているように見えるが、寝るなどして意識を失うとランダムな日に目覚めたように感じる
同じ日に再来することもある
何度でも波動関数が再発散する
観測するまで確定していない
観測が波動関数の収束を引き起こす
収束は一方向である
観測が時間の非対称を生み出しているのでは
波動関数を観測によって収束させて「過去から未来へ」と一次元的に意識が進んでいくのは「能力」 時間感覚器官の破壊によってそれが失われる
何度でも収束前の状態に戻ってしまうので何も確定しない
努力して何かを成し遂げても、無かったことになってしまう
客観時間$ T_iにおいて努力をすれば客観時間$ T_{i+1}で成功している確率は高まるだろうけど、主観時間$ t_jで$ T_{i+1}での成功を観測しても$ t_{j+1}で$ T_iの努力前の状態に出現したりする
原因が結果に先行するか?
そもそも"原因が結果に先行する"という考え方も時間は一次元的に流れていることを前提として構築された概念
妻「我々も死んだらランダムな時点に転生するかもしれない」