選択と集中
「選択と集中」の元祖とされるウェルチの戦略は、M&Aによって肥大化した大企業の中の非効率をそぎ落とすものだった。 「利益の出ていない部門を閉鎖することで経営を改善した」は彼の戦略をかなり雑に要約したものだ。
「減らすことが重要だ」という誤ったメッセージになる
実際には250事業を売却し、370事業を買収しているから減ってはいない
1980年代にアメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)のCEOであるジャック・ウェルチが実践した戦略
利益の出ない全ての事業を切り捨て
具体的には何をした?
ウェルチはその目を組織の構造に向けた。組織の贅肉をそぎ落とし、個々の事業部門の実力を強化させながら、GE全体の権限の分散化を強力に推し進めている。長い年月をかけて念入りにつくり上げられた磐石の管理階層はごみ箱に捨てられた。
「戦え、憎め、蹴り飛ばせ、破壊しろ」。ウェルチは社員に対して反官僚主義の言葉を公然と口にしている。 ワークアウト
官僚的組織の悪弊を打破するためにジャックウェルチにより採用されたのがワークアウト
ワークアウトとは、GEにおいて「境界のない企業」(boundary less company)を実現するための組織運営の手法。1980年代末から全社規模で導入・実施した。 社内の様々な階層から数十名の従業員が集まって、2~3日にわたって開催される
1: 書類とかを排して、色々な部署・階層の人が集まる場「タウン・ミーティング」を行う
2: 仕事を難しくしている原因を検討
3: 成し遂げた改善例をベストプラクティスと比較
具体的な運用の一例
ドラッカー「その事業に今関わっていないと仮定して、あなたは今その事業を始めることを選択しますか?」
60~80年代のシナジーのないM&Aによる大規模化
1990年代から日本で大流行
日本の事例
(キヤノンは)伝統的な終身雇用制を守りながらパソコン事業など赤字部門を切り捨て、...経営資源を注力する「選択と集中」を実施した。社員のクビを切らない代わりに年功序列は廃し、実力主義の賃金体系を組合に認めさせた。
武田薬品工業は1995~2000年の中期経営計画で武田國男社長(当時)のもと、「医薬品特化」の方針を打ち出し、黒字事業を売却する「選択と集中」で成果を上げた。
5年かけて譲渡するスキーム
5年程度の期限付きのジョイントベンチャーを組み、パートナーに過半数を持たせる。
最終的に保有株式をパートナーに売却
振り子のようなもの