突きつけるブロードリスニング
ブロードリスニングを市民が政治家に「突きつける」ものだと考えていた人がいた
ほとんどのユースケースで、プロードリスニングは政治家なり自治体なりの「既存の政治的権力」の側が実行している
台湾の事例だとデジタル大臣であるAudrey Tangのチームが実行してUberに関する議論を「見る」ことをしている
Audreyは「メガネ」に例えている: メガネをかけても目が不要にはならない
都知事選2024での安野さんの事例や参院選2025でのチームみらいの事例は、政治家が実行して自分のマニフェストを更新してより支持されるように変えていくために伝っている
シン東京2050ブロードリスニングの場合も、東京都が実行して、自分たちの長期計画の刷新に使って、それから市民に見せている
どのケースでも「市民が政治家に突きつける」という使われ方はしていない
これを暗黙に当たり前だと思っていたが、確かに技術は中立的なので、市民が実行して「政治家に突きつける」という使い方も可能だなという気づきがあった
その気づきを踏まえて過去の事例を振り返ってみると、野党が首相に「突きつける」目的で使った事例もあったなと気付いた
ブロードリスニングが国会で野党が総理大臣に質問するために使われた事例
逆に言えば、既存の政治的権力がブロードリスニングを実行して結果を市民に見せることを、あえて「突きつけている」と解釈するなら何が目的か
それは市民に「お前の狭い視野ではその意見が最優先なのかもしれないが、世の中にはもっと多様な意見があって優先順位を奪い合っているんだぞ」という現実認識だろう
市民の視野を広げることによって分断が減る
「伝えなきゃ」と思ってる情報は多くの場合「もう知ってる」
情報の価値は人によって異なる
市民の視野を広げることで分断を緩和する
人間の知覚能力を増強することで境界をなめらかにする
関連
ポンチ絵は「すべてのご意見を考慮しております」というアピールをして意見を封じることが目的
この話の後
「ブロードリスニングは左派的な取り組みだと思っていた」と聞いたので
Audreyが左派ではないという話をした: 飛ぶには両方の翼が要る
dd2030 slackでの続き
中山心太(tokoroten)
「新たな問題発見→問題提起→道徳的優位性→政治的権力」というのが左派の活動の構造で、これは戦後からずっと続いている(これがバラモン左翼に繋がっていく)
なので「課題を発見」「課題を発信する」というのは左翼的な活動に見えるのは分かるし、ブロードリスニングがこれの延長線上にいるように感じられるのは理解できる
これに対して「今ここにある問題を解決することで、政治的権力を得る」というのが右派なので、
右派は自明的な問題を解決しに行くので、「課題発見」「課題提起」に対する親和性(?)が弱い
NISHIO Hirokazu
なるほど、面白い
右派はまったく新しい問題を発見して欲しいのではなく、すでによく知られている問題であって、ステークスホルダーが多すぎてがんじがらめになって動かなくなっている問題に新たな切り口をもたらすことで動くようになって欲しい、という仮
未知の課題を発見したいのか、既知の課題が硬直状態に陥っているのを動かしたいのか、という違いかも
未知の課題を発見したいのか既知の課題を解決したいのか