矛盾律
日本大百科全書(ニッポニカ) 「矛盾律」
law of contradiction
いかなる命題に対しても、それが成り立つと同時に成り立たないということはないということを述べているのが、矛盾律である。記号を用いて、A∧~A(AそしてAでない)は、Aがいかなる命題であっても成立しない、というように定式化することもできる。あるいは、いかなる命題も真であると同時に偽であることはない、と言い表してもよい。
排中律と同様、矛盾律も古代から知られていた論理学の基本法則であるが、論理学の内部で厳密に取り扱われるようになったのは、近代論理学が成立して以来のことである。すなわち、矛盾律が定理として導かれるように、現代の命題論理は定式化されているのである。しかしながら、否定を構成的に理解すると、矛盾律も、排中律と同様かならずしも成り立つわけではない、ということがわかってきた。