王力雄
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王力雄(ワン・リーシュン、1955年-)は、中国のチベット族の作家、社会活動家です。彼は遊牧民出身であり、その経験を基に、チベットの伝統文化や生活様式、そして中国政府の政策がチベットにもたらした影響について発言を続けています。
主な業績:
『天葬』(1998年):チベットの伝統的な葬送儀礼である「鳥葬」を題材にした小説。チベット文化の深淵を描き出しました。
『西蔵生死書』(2000年):チベット高原の厳しい自然環境と、そこで暮らす人々の生と死を描いたルポルタージュ。
『草原動物園』(2007年):中国の経済発展がチベットの環境や遊牧民の生活に与えた影響を、動物をモチーフに風刺的に描いた作品。
王力雄は作品の中で、中国政府による定住化政策や資源開発がチベットの伝統的な遊牧生活を脅かしていると批判しています。また、チベット仏教の弾圧や、チベット語教育の制限といった民族政策の問題点も指摘しています。
一方で、彼はチベット独立運動には与せず、チベットと中国の共生を模索する立場を取っています。チベットの文化的なアイデンティティを守りつつ、中国の一部として発展していく道を探っているのです。
王力雄の思想は、遊牧民の視点からチベット問題を捉え直す独自性を持っています。ドゥルーズの遊牧論とは直接の関係はありませんが、国家と遊牧の緊張関係を浮き彫りにしている点で、ドゥルーズ的な問題設定と重なる部分があると言えるでしょう。