特許と公知
「発明が公知になると特許を取れない」ということはよく知られれいるが「公知」の定義を誤解している人が意外と多い。 Q&A形式
Q: まずは簡単な方から、NDAの掛かってる発表会で話しても公知じゃないよね?
A: はい
Q: でも、NDAの掛かってない発表会で発表してしまったら、もう公知だから特許取れないよね?
A: いいえ
例: 「AをBに変換することでCという効果を起こします」と発表し、中身については話してない場合
「AをBに変換することでCという効果を起こすモノ」というくくりでは特許を取れないが
AをBに変換する手法Dが公知でないなら「AをDという方法でBに変換することでCという効果を起こす」では特許を取れる可能性がある
要件: 進歩性「公知のAをBに変換する手法より方法Dがよい」
学会発表でもない製品や成果の発表会だと、中身のことは詳細に話してないってケースも多いのでは?
Q: テストマーケティングで売ってみて、顧客の意見を聞いてから良さげなら特許を取るつもり。
A: それはできない
公然と販売されたものは公知となる。用語: 公然実施 「10個くらい顧客に渡して意見を聞きたい」を実現するなら、単純に売るのではなく顧客とNDA的な契約を結ぶとよい
Q: 既に論文が出ているものなので公知だから特許が取れない
A: 周辺で取れる可能性はある
例: 「AをBに変換することでCという効果を起こす」という論文が出てるとする。それを実際に顧客が使えるデバイスの形にしてみようとしたら(例えばデバイスのサイズや電源の持ちなどの)何らかの問題が発生したとする。その問題を解決するために自明でない工夫をしたならその工夫の部分で取ることができる。
第二十九条 産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。
一 特許出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明
二 特許出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明
三 特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明
2 特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が前項各号に掲げる発明に基いて容易に発明をすることができたときは、その発明については、同項の規定にかかわらず、特許を受けることができない。
(定義)
第二条 この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。
2 この法律で「特許発明」とは、特許を受けている発明をいう。
3 この法律で発明について「実施」とは、次に掲げる行為をいう。
一 物(プログラム等を含む。以下同じ。)の発明にあつては、その物の生産、使用、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為
二 方法の発明にあつては、その方法の使用をする行為
三 物を生産する方法の発明にあつては、前号に掲げるもののほか、その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為