灘中2025覆面算
8個の数3,4,5,6,7,8,9,0を並べ替えると、A, B, C, D, E, F, G, Hとなりました。
5桁の整数1ABC2をDで割ると割り切れ、商が4桁の整数EFGHとなるとき、整数EFGHは____です。
問題をo3-mini-highに与えると1分半で正解を出してくる。ただし解法の説明なしで答えだけ書いてくる。
そこで、どうやって解いたかの解説をできるかどうかを試みた。
結論
条件を満たす解を見つけることは1分半でできたが、それを論理的に説明することはなかなかできない。
特に唯一解であることを証明することなどが全然できない。
そもそも現状のLLMって「最も確率が高そうな解を出力して、それがあってれば得点」という教育のされ方をしている。
フィーリングで解候補を見つけて、検算してそれが解であることを検証したら、もう出力する。
それ以上の論証は高得点を取るために必要ないので訓練されておらず、なのでその能力が期待ほど高くない。
だから証明を書かせようとしても「具体例を挙げると」と言い出して条件分岐を網羅しないとか「〜する可能性が高い」的なフィーリング判断をするとかの振る舞いをして証明として成立しない
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nishio.icon解法を解説して
o3-mini-high.icon
<think>
問題が「8個の数 3,4,5,6,7,8,9,0」が順番にAからHに対応しているということですね。A, B, C, D, E, F, G, Hはすべて異なる数字で構成されています。このうち「1ABC2」を5桁として考え、Dで割った商が4桁の数「EFGH」になるという問題です。A, B, C, D, E, F, G, Hがどのように配置されているかを理解し、計算を進めていく必要があります。
「1ABC2」は5桁の整数で、Dで割ると商が4桁の「EFGH」となるという条件です。Dは8桁の数字の4番目、つまりDはA, B, C, D, E, F, G, Hの順番で並べられた数字群の中の1つです。8個の数字「3,4,5,6,7,8,9,0」からAからHを選び、この数字で計算する必要があります。最初と最後の「1」と「2」を使い、残りの数字をどう割り当てるかが問題の鍵です。
「1ABC2」をDで割った商が「EFGH」となることに注目。まず、Dは0を除く数字{3,4,5,6,7,8,9}のいずれか。商「EFGH」は4桁の整数です。また、商は数字の並び順に基づいており、どの数字がA, B, C, D, E, F, G, Hに割り当てられるかを決める必要があります。詳細に計算し、範囲を絞った結果、商が適切な4桁になるように調整します。
商「EFGH」の最後の桁が4である必要があります。これはDとHの組み合わせを検討する一因になります。また、商「EFGH」は4桁の整数で、Dとの掛け算で結果が求められます。DとHの組み合わせで「3 * X」が1ABC2になることを確認する必要があります。例えば、D=3かつH=4の場合、この条件を満たすXを試していくつかの候補をリストアップします。全体的に、順番通りに長い計算を進めています。
いろいろな候補を確認した結果、商「EFGH」の末尾に関する制約や、DとHの組み合わせでのチェックについて悩んでいます。それぞれの候補、例えばD=3、H=4やD=9、H=8などを試しながら計算し、乗算の構造や候補の数字セットから除外できる数字について考えています。特に、商や余剰での整数除算に関連する制約をうまく整理しないといけません。
A、B、C、D、E、F、G、Hに使う数字を絞り込んでいる途中です。特に、A、B、Cの組み合わせを決め、それに基づいて商や余りが条件に合うかを確認しています。この段階では、いくつかの組み合わせを試しながら、商の約数を求めるのと同時に、残りの数字をどのように扱うべきかで迷っています。理解を深めるためにも、まだ試行錯誤が続いています。
Xは1250から2499の間で、最後の桁が4である必要があります。そのため、候補のXは{0,3,5,6,7,9}の数字の組み合わせで、最後の桁が4であり、さらに8倍した結果、1ABC2という形式になるように選ばなければなりません。さらに、この8×Xの結果として得られる数の桁数や最初の数字が1であることを確認しつつ、適切なXを探す過程にあります。
現在、Xは3000から3999の間で、4倍した結果が10000から19999の間に収まる必要があります。さらに、Xの千の位は3で、残りのFとGをSから選んで、A、B、Cが余った3つの数字となります。この条件に基づいて、適切なXを選ぶ必要があります。計算した結果、最終的な数が1ABC2の形式になるよう整合性を取って確認しています。
X = 3FG8 の形で検討し、Y = 4*X を計算している段階です。各候補に対して計算を進めており、Y の数字が順番に合うように調整しています。ただし、いくつかのペアでは同じ数字が重複してしまい、条件に合わない結果が出ています。F と G の組み合わせを慎重に選ぶ必要があります。
X = 3FG4 の中で、D=3, H=4の場合を試し、Xの値と3 * Xの結果を確認しています。いくつかのペアで繰り返し数字が発生したため、それらは却下しています。最終的には、Xのクォシェントが条件を満たすか確かめる必要があります。特に、商が4桁であることを確認した上で、再度代入テストをしています。
</think>
答えは 5694 です。
【解説】
8個の数字 {0,3,4,5,6,7,8,9} を順に A, B, C, D, E, F, G, H と置き、5桁の数 1ABC2 を D で割ると商が 4桁の数 EFGH となるので
$ 1ABC2 = D × EFGH
また、1ABC2 の末尾は 2 なので、D×(末尾が H の EFGH) の下1桁が 2 となり、たとえば D=3 のとき 3×4=12 となるので H=4 が候補です。
実際、D=3, H=4 と置くと、1ABC2 = 3×EFGH となり、1ABC2 は 10000~19999 の間から、EFGH は約 3334~6666 の4桁となります。さらに、EFGH と残りの A, B, C は D=3 と H=4 を除いた {0,5,6,7,8,9} の順列になる必要があるため、候補の一つとして EFGH=5694 を試すと、
$ 3×5694 = 17082
となり、これを 1ABC2 と見ると A=7, B=0, C=8 となり、並べた8個の数字は {7,0,8,3,5,6,9,4} となり、元の集合と一致します。
よって条件を満たす解は EFGH = 5694 となります。
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飛躍がデカすぎるねnishio.icon
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nishio.iconまずDが0と5はあり得ないことを説明し、次に積の5桁目が1であることを用いてDを絞り込め
o3-mini-high.icon
解説
1. D=0とD=5があり得ない理由
D=0の場合
1ABC2 = D×EFGHとなるが、Dが0ならば 0×EFGH = 0 となり、1ABC2が10000以上の5桁の数になることに矛盾します。
また、割り算で0で割るのは定義できません。
D=5の場合
5で掛けた数の積は必ず末尾が0か5になりますが、1ABC2の末尾は2です。
よって、5をかけた場合、末尾が2になることはありえません。
2. 積の先頭が1であることを利用したDの絞り込み
1ABC2は5桁で先頭の数字が1なので、必ず 10000~19999 の範囲にあります。
式 1ABC2 = D×EFGH で、EFGHは4桁(1000~9999)です。
→ よって、
10000 ≤ D×EFGH < 20000
⇨ 10000/D ≤ EFGH < 20000/D
と範囲が定まります。
さらに、1ABC2の末尾が2であることから、EFGHの末尾(Hとする)に対して
D×H ≡ 2 (mod 10)
が成立します。
たとえば、D=3の場合、3×4=12となり末尾が2になるので、H=4が候補となります。
このように、Dは0と5を除いた候補(例:3,4,7,8,9など)の中から、積が10000~19999に収まり、かつ D×H の下1桁が2になる組み合わせを調べることで絞り込めます。
最終的に条件を満たすのは D=3 の場合で、そのとき EFGH = 5694 となります。
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(「たとえば」のところで飛躍してしまっているnishio.icon)
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nishio.iconD=9になりえない理由が説明できますか?
o3-mini-high.icon
解説
1. EFGHの範囲の制約
1ABC2 = 9×EFGH のとき、1ABC2は5桁の数で10000~19999に収まるので
10000 ≤ 9×EFGH < 20000
⇒ 1112 ≤ EFGH < 2222
となり、EFGHは1112~2221の4桁の数です。
2. EFGHの千位の数字の制約
EFGHの各桁は、{3,4,5,6,7,8,9,0}から重複なく取られますが、
1ABC2の「1」と「2」は既に使われている
今回D=9とすると、9も使えません
よって、EFGHに使える数字は {0,3,4,5,6,7,8} で、千位は0にはならないため、最低でも3です。
つまり EFGHは最低でも3000以上になります。
3. 矛盾の発生
EFGHは「1112~2221」との範囲でなければならないのに、千位が3以上なら3000以上となり、両立しません。
以上より、D=9の場合、EFGHの値に矛盾が生じるため、D=9はあり得ません。
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説明しろと言われれば説明できるようだ。nishio.icon
つまり「説明が必要だ」と思ってない。
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nishio.icon同様の方法でDになり得ない数を除外せよ。それからDとの組みあわせで積の1桁目が2になるようなHを考え、候補が10件以下になるようなら列挙せよ
o3-mini-high.icon
【解説】
1. Dが取り得ない数字の除外
D=0の場合
・0で割るのは定義できず、また0×EFGHは0になるので、5桁の1ABC2にはなりません。
D=5の場合
・5で掛けると、積の下1桁は必ず0または5になりますが、1ABC2の末尾は2です。
D=9の場合
・1ABC2は10000~19999の範囲ですが、D=9なら
10000 ≤ 9×EFGH < 20000 となり、EFGHは1112~2221の範囲となります。
しかし、EFGHは使用可能な数字 {0,3,4,5,6,7,8,9} の中から選ぶため、千位は0でなく最低3となり、3000以上となる必要があります。
この矛盾からD=9は不適です。
以上より、候補となるDは {3,4,6,7,8} です。
(つっこみ: 7と8も9と同様の理由でNGなことに気づいていないようだnishio.icon)
2. 積の下1桁が2になる条件からのHの絞り込み
1ABC2 = D×EFGH の末尾が2となるため、
D × H ≡ 2 (mod 10)
となります。各Dについて解くと:
(中略)
よって、Dとの組み合わせで積の下1桁が2になる候補は、
(D, H) = (3, 4)
(D, H) = (4, 3)
(D, H) = (4, 8)
(D, H) = (6, 7)
(D, H) = (7, 6)
(D, H) = (8, 4)
(D, H) = (8, 9)
候補は全部で7通りとなり、10件以下です。
(つっこみ: 実際は7と8もNGなのでここで可能な(D, H)は(3,4), (4,3), (4,8), (6,7)の4通りになるnishio.icon)
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nishio.icon次は「いずれかの文字が0にならなければいけない」という制約に関して検討しなさい
o3-mini-high.icon(すでにわかっていることの確認だけだったので省略)
nishio.iconA, B, C, F, Gの中で0にすると矛盾が発生するものがあるはずです。考えて
o3-mini-high.icon
【解説】
8個の数字 {0,3,4,5,6,7,8,9} を A~H に一通り配置するので、必ずどこかに 0 が現れなければなりません。しかし、以下のような位置には 0 を置くと矛盾します。
D, E, H についてはもともと0不可:
D は除算の分母となるため。
E は4桁の商 EFGH の先頭、H は D×H の下1桁が2になる条件からも 0 は成立しません。
残る A, B, C(1ABC2 の中の3桁)および F, G(EFGH の中の下2桁)の5箇所ですが、これらの中で 0 を置くと以下の問題が起こります。
A=0 の場合:
1ABC2 は 10BC2 となり、値が 10000~10999 に限定されます。たとえば D=3 なら商は (10000~10999)/3 ≈ 3334~3666 となり、商の千位 E は 3 に固定されます。しかし、D=3 と E=3 は重複するため矛盾します。また、他の D(4,6)でも同様に、商の先頭 E に 1,2 など使えない数字が生じ、条件を満たせません。
F または G=0 の場合:
EFGH は 4桁でかつ 1000 以上でなければならず、たとえば D=3 の場合、EFGH は 3334~6666 の範囲が必要です。F または G に 0 を入れると、構成できる数字の組み合わせが非常に限定され、かつ他の桁との重複回避・範囲条件との両立が困難になります。実際、既知の解では EFGH=5694 となり、F=6, G=9 として 0 はどちらにも入りません。
以上から、A, C, F, G の中に 0 を入れると数値の範囲や重複の面で矛盾が発生し、唯一矛盾なく 0 を配置できるのは B となります。
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nishio.icon感想
F または G に 0 を入れると、構成できる数字の組み合わせが非常に限定され、かつ他の桁との重複回避・範囲条件との両立が困難になります。
「非常に限定され」とか「両立が困難になります」とかいうならちゃんと論証してよと思うんだが、そういうのはわかってないみたい
実際、既知の解では EFGH=5694 となり、F=6, G=9 として 0 はどちらにも入りません。
既知の解を使って論証するのは根本的にダメでしょw
「FまたはGが0のとき、繰り上がりが積に露出するのでD=3ではありえない」的なことを言うかなと期待したが言わなかった
あー、そうか、そもそも現状のLLMって「最も確率が高そうな解を出力して、それがあってれば得点」という教育のされ方をしているから、フィーリングで解候補を見つけて、検算してそれが解であることを検証したら、それ以上の論証は必要ないのか。
だから「具体例を挙げると」と言い出して条件分岐を網羅しないとか、「重複する可能性が高い」的なフィーリング判断をするとかの振る舞いになるわけか
このあと明示的に「唯一解であることを証明せよ」と言っても全然ダメだった
D=3の場合のみ検討して「証明した」とか言うので諦めた
まあ実際の受験でもある程度絞り込めたら全列挙して解いちゃうだろうし、AIにとって「ここまできたら考えるより全列挙する方が早いな」となるタイミングは人間より早いだろうから、こういう「説明できないけど答えは正しい」って現象が増えていくのかもしれないなぁ
「賢い人はわかりやすく説明できる」とは限らず「何言ってるのかよくわからないけど賢い」パターンがある