格差の自然発生ではない
40人の人がコインを10枚ずつ持っている。ランダムに選ばれた人Xが、ランダムに選ばれた人Yから1枚コインを受け取る。図は1回コインの受け渡しが行われた後のグラフ。
https://gyazo.com/72f28cfced4f09f3612082556842a1c6
このコインの受け渡しを繰り返していくと、格差が拡大していき、今回の実験では489回目でコインが0枚になる人がでる。 https://gyazo.com/a0aa3ab073c0869d6e8ff87d4cd1eab2
わかりやすくするために持っているコインの数でソートすると以下のようになる。
https://gyazo.com/a8d636b22b2a8fd4fcc4b4cad3e59ac7
この結果を見て「意外だ」という人がいる。
僕は「この結果が意外だと思う人がいる」ということが意外だった。
どれくらい意外かというと「0.1って小さいからほとんど0でしょ、なのに1000回それを足したら100になるんだよ!100ってすごい大きいよ?意外だよね!」って言われたくらい意外。
最初の「全員がコインを10枚持っている」という状態は、確かに「格差ゼロ」だ。 でも1ステップ後の「誰かが1枚減って、誰かが1枚増えている状態」は既に格差ゼロではない。
具体的にいえば「40人のうち1人が+1、1人が-1」という確率変数の分散は0.05である。 独立な確率変数を足し合わせると、分散も足した値になる。
489回コインの受け渡しをすると、分散は0.05 + 0.05 + ... と489回足されることになる。
最終的に破産者が出た時の分布の分散は24.6だった。これを489で割ると0.0503だ。
つまり1回の受け渡しごとに順当に0.05ずつ増えてるわけだ。理論通りだ。
というわけで「0.05って小さいからほとんど0でしょ、なのに489回それを足したら24.6になるんだよ!」と言われた気持ち。
当たり前じゃん。