未来デザイン会議
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未来デザイン会議(Future Design Councils)とは?
発案者と背景
高知工科大学の経済学者・西條辰義(さいじょう たつよし)教授が中心となって2010年代半ばから提唱した「フューチャー・デザイン(Future Design)」という手法に基づく、市民参加型の意思決定プロセスです。短期的利益に流れがちな民主主義を補い、将来世代への配慮を制度的に組み込むことを狙っています。(fdsd.org) 基本のしくみ
1. 参加者を「現世代グループ」と「仮想将来世代グループ」に分ける。
2. 将来世代側の参加者は “2060 年の同世代の住民” などに“成り切る” ロールプレイを行い、袴や羽織など象徴的な衣装を着用して時間的距離を体感する。
3. 両グループが同じ地域計画や予算案を検討し、最後に統合案をまとめる。
導入事例
京都府宇治市、大阪府吹田市、京都市などでも都市計画・環境政策づくりに応用。研究段階を含めると十数自治体が実施済みです。(fdsd.org) Glen Weyl が注目する理由
Weyl 氏は著書『Plurality』で「多様な価値観を保ったまま協働するデザイン」を提唱しており、世代間の多様性まで取り込む日本の Future Design を「実例として学ぶべき」と何度か講演で言及しています。技術だけでなく制度側のイノベーションとして、台湾の g0v やウェールズの Future Generations Act と並べて紹介する文脈が多いです。(Schneier on Security) 他の市民会議との違い
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項目 未来デザイン会議 一般的な気候市民会議など
参加者の役割 現在・将来の二役を明示的に演じ分ける 通常は「現在の市民」としてのみ参加
手法 ロールプレイ+デザイン思考 無作為抽出+専門家ヒアリング等
目的 世代間正義と想像力の拡張 住民合意形成・政策提言
参照すると良い資料
FDSD “Japan’s movement of Future Design Councils”(英語概要)(fdsd.org) RIETI コラム「フューチャー・デザイン 将来世代のための新しい政策決定システム」(RIETI) ひと言まとめ
未来デザイン会議は、住民が“未来人”になって自治体の政策を議論する日本発の実践型インターネット無しの「フォアキャスティング+ロールプレイ」制度。Glen Weyl が推す理由は、Plurality の核心である「多様性と協働」を世代スケールで実装しているから、というわけです。