最小有効多様性
「多様性を増やすためには、組織のすべての成員が最少のステップをつうじて最も早いスピードで可能なかぎりいろいろな情報を利用できるように保証しなければならない」
最小有効多様性 requisite variety
複雑多様な環境からの挑戦に対応するには、組織は同じ程度の多様性をその内部に持っていなければならない Ashby, W.R. (1956). An introduction to cybernetics. New York: John Wiley & Sons.
最小有効多様性は、組織の全員が情報を柔軟にさまざまな形ですばやく組み合わせたり、平等に情報を利用できるようにすることによって強化できる。
多様性を増やすためには、組織のすべての成員が最少のステップをつうじて最も早いスピードで可能なかぎりいろいろな情報を利用できるように保証しなければならない
Numagami, T., Ohta, T., & Nonaka, I. (1989). Self-renewal of corporate organizations: Equilibrium, self-sustaining, and self-renewing models (working paper). Berkeley, CA: University of California at Berkeley.
フラットで柔軟な組織構造を開発して各部署を情報ネットワークで結ぶのは、 環境の複雑性に対処する 一つの方法である
環境の予期せざるゆらぎにすばやく反応し、かつ内部の多様性を維持するもう一つの方法は、組織構造を頻繁に変え ることである 2024-04-24
nishio.iconAshby 1956 解説して
具体的には、Ashbyは「必要な多様性の法則」という概念を導入しました。これは、システムが生き残るためには、システムが処理しなければならない外部の多様性に匹敵するだけの内部的な多様性を持つ必要があるという原則です。例えば、ある環境が非常に複雑で予測不可能な場合、その環境で効果的に機能するためには、システムもまた、適応的で柔軟な構造を持つ必要があります。
また、Ashbyはシステムの状態が時間とともにどのように変化するかを記述するために「状態遷移図」を使用しました。これにより、システムの動的な振る舞いをよりよく理解し、予測することが可能になります。
「An Introduction to Cybernetics」は、システム理論、人工知能、生態学、経営学など、多くの分野に影響を与え、今日でもその概念は広く利用されています。
nishio.icon野中郁次郎は"最小有効多様性"という言葉で表現している。もっと掘り下げて解説して
gpt.icon野中郁次郎が提唱する「最小有効多様性」は、W. Ross Ashbyの「必要な多様性の法則」に基づいた概念ですが、特に組織運営や経営戦略において応用されています。この概念は、組織が直面する問題や不確実性に対処するために必要な多様性の程度を意味し、組織内で維持すべき多様性の「最小限」を指し示します。
原理と適用
「最小有効多様性」は、組織がその環境から受ける挑戦や複雑さに対応するために必要とされる知識、スキル、能力の範囲を表します。この多様性は、組織が効率的に機能し、適応し続けるために必要な最小限の範囲を意味します。つまり、組織は無駄なく、しかし十分に多様な資源を持っていなければなりません。
組織設計への影響
組織が新たな技術や市場の変化に対応するためには、異なる専門知識や視点を持つ人材が必要です。しかし、すべての可能性に対して備えを持つのではなく、最も効果的な対応を可能にする「必要最低限の多様性」を維持することが重要です。これにより、組織はリソースを無駄に消費することなく、柔軟かつ迅速に対応できるようになります。
実用例
組織が国際市場に進出する際には、文化的な多様性を理解し、それに対応する能力が求められます。この場合、国際的なコミュニケーションや交渉のスキルを持つ人材を適切な比率で組み込むことが「最小有効多様性」となります。これにより、組織は多国籍の環境で効率的に運営を行うことができるようになります。
野中郁次郎の概念は、特に変動が激しい現代のビジネス環境において、組織が持続可能な競争力を維持するための戦略的なガイドラインとして機能します。組織が必要とする多様性の範囲を適切に管理することで、不確実性を効果的に管理し、持続的な成長を実現することが可能です。