日本版バイドール
米国では、1970年代後半の米国経済の国際競争力低下を背景として、1980年に、政府資金による研究開発から生じた発明についてその事業化の促進を図るため、政府資金による研究開発から生じた特許権等を民間企業等に帰属させることを骨子としたバイ・ドール法を成立させた。これにより企業等による技術開発が加速され、新たなベンチャー企業が生まれるなど、米国産業が競争力を取り戻すこととなったと言われている。
我が国では、従来より、政府資金による研究開発から派生した特許権等の帰属について、国が所有することとなっていたが、総理主宰の第4回の産業競争力会議において、民間側から制度改善についての提言が相次いだ。このため、平成11年に策定した産業競争力強化対策(政府産業構造転換・雇用対策本部決定)において、「開発者のインセンティブを増し、国の資金による研究開発成果の普及を促進するため、米国のバイ・ドール法を参考として、国の委託研究開発に関する知的財産権について、開発者にその利益を帰属させるための措置を講ずる。」旨決定した。これを受け、いわゆる日本版バイ・ドール制度を、産業活力再生特別措置法第30条(平成十一年法律第百三十一号)で措置した。